ピアノ・ミュージックフェスティバル2021 ファイナル

PIANO MUSIC FESTIVAL 2021 FINAL

2022年3月26日(土)、2021年大会ファイナルを東京・第一生命ホールにて出場関係者限定で開催しました。ファイナルの模様は、後日YouTubeでLive配信。多くの皆様にご視聴いただき、YouTubeのチャットには、あたたかいメッセージが寄せられました。
ファイナリストは、ローランドのコンセプト・モデルFacet Grand Pianoで、アコースティック楽器と電子楽器で編成されるスペシャル・オーケストラと共演。コロナ禍でさまざまな制約もある中、想いのこもったすばらしい演奏を披露してくださいました。
また今回は、フリースタイルピアニスト・けいちゃんがゲスト出演。たくさんの努力を重ねてきたファイナリストへ向けて、演奏とメッセージを届けてくれました。

入賞された皆さん、おめでとうございます。そして、ファイナルにご出場くださったすべてのファイナリストとご指導・ご協力くださった皆さん、ありがとうございました!
各部門より、最優秀賞・優秀賞1名ずつ、さらに全部門の中から審査員特別賞が2名選出されました。

審査員

[審査員長]渡辺 俊幸氏(作編曲家)
山下 康介氏(作編曲家)
小原 孝氏(ピアニスト)
高橋多佳子氏(ピアニスト)
唐澤 裕典(ローランド株式会社 RJMカンパニー社長)

入賞者インタビュー

小学生部門

最優秀賞磯部 紗希さん
(東海)[凱旋行進曲~「アイーダ」より~]

「凱旋行進曲~「アイーダ」より~」を演奏し、小学生部門で最優秀賞に輝いた磯部さん。この曲の華やかなところがお気に入りで、オーケストラと合わせたら素敵だろうな、と思って選曲されたそうです。落ち着いて丁寧に演奏すること、オーケストラと一体感のあるステージにすることを考えて臨んだ本番、「練習してきたことを出し切ることができた」と振り返ります。「指揮の栗田先生がよくこちらを見てくださり、すごく演奏しやすかったです。オーケストラの皆さんの演奏もすばらしく、音楽にのって、気持ちよく演奏することができました」。先生から、音色や表現の理想を強く持つことの大切さを教わり、理想に近づくために、録音をして自分の音を聴いて練習を重ねてきました。「最優秀賞で名前が呼ばれたときは信じられない気持ちで、会場に来られなかった先生にはやく伝えたい!と思いました」。先生から、がんばってきてよかったね!家族や友だちからも、すごいね!と喜びの声が届いて、とても嬉しかったと最優秀賞受賞の喜びを話してくれました。「またファイナルのステージに立てるよう練習して、これからもピアノを楽しみながらずっと続けていきたいです」。

優秀賞江川 巧真さん
(関東信越)[TAKARAJIMA]

とにかく楽しんで弾くことを心掛けた江川さん。「オーケストラとの一体感を出せるように指揮者さんを見て、皆さんの音をしっかりと聴き、自分の音を出すように心掛けました」。緊張もあったそうですが、思いきった自分らしい演奏ができたことがよかった、と話します。以前から好きだった「TAKARAJIMA」。T-SQUAREのライブ音源をもとにすべて自分でアレンジされ、ピアノソロと最後のほうのアレンジが特にお気に入りだそうです。フレージング、アーティキュレーションを意識して、見ている人・聴いている人が楽しくなる演奏をめざして練習。先生からは自分を表現してとにかく楽しくノリノリで演奏するように、とアドバイスを受けました。結果発表で、「『TAKARAJIMAを演奏された関東信越代表・・・』と言われた時には心のなかで「やったー!!」と叫んでいました。自分のアレンジとパフォーマンスが評価されてとても嬉しかったです」。入賞後は先生や応援してくれたみんなが自分のことのように喜んでくれました。コロナが収束したら各地のストリートピアノでたくさんの人に自分のピアノを聴いてもらいたい。今度は弟と二人でファイナルに出場したい。と、これからの夢を教えてくれました。

審査員特別賞古賀 恭一郎さん
(九州)[TAKARAJIMA]

めったにない機会、楽しみながらノリノリで弾こうとステージに向かった古賀さん。今まで練習してきた中でも一番楽しく弾くことができたと話します。オーケストラの皆さんと楽しく自分の演奏をしっかりとするよう心掛けました。初めてのアンサンブルでしたが、音を合わせて演奏することに感動したそうです。「TAKARAJIMA」は、「終盤の盛り上がりがお気に入りで大好きになりました。大会の後も毎日弾いています」。リズムが難しいところや早いところは、力が入らないように直前まで繰り返し練習。宝島ということで、好きな車や電車、宝物のおもちゃが沢山ある光景を想像しながら、楽しいイメージを膨らませていきました。先生からは、ゆっくり弾く練習をすること、左手のリズムを崩さないように左手だけの練習を毎日しっかりやること、吹奏楽の宝島をイメージして思いっきり弾くこと、と助言をもらいました。受賞の瞬間は「とってもうれしかった!」と話します。先生や来場できなかった家族にもとても喜んでもらえました。「これからも練習を頑張って自分の演奏をたくさんの人に聴いてもらえるようになりたいです。いつか作曲の勉強もしてカッコいい曲を作れるようになりたいです」。

中高生部門

最優秀賞児玉 楽久さん
(関東信越)[マシュ・ケ・ナダ]

楽しもう!とステージに臨んだ児玉さん。ピアノソロの後、自分で合図を出してオーケストラと合わせるところをリハーサルで入念に確認しました。舞台袖ではとても緊張したものの、ステージに立ち音が鳴り始めたら楽しい気持ちが大きくなりました。演奏中、ドラムのミルトン冨田さんと目が合ってニコッと微笑んでくれたことが印象に残っています。選曲はビート感のある「マシュ・ケ・ナダ」。「なんてこった!」という曲の意味が普段の自分に当てはまるwそうです。練習は質を高めるよう意識。ビートが崩れないようにテンポを遅くして部分練習をし、録音した演奏を客観的に聴いて修正。「自分で感じた自分らしい表現、アーティキュレーションは尊重してもらって仕上げました」。今日一番の印象に残る演奏をして楽しんで !と先生に送り出してもらった本番。受賞はすぐには信じられなくて、トロフィーを何度も確認して徐々に実感がわいてきました。家族や先生は「楽しませてくれてありがとう」、学校の先生は結果に驚き友達は大騒ぎです。夢はどんな形であれ音楽をずっと続けていくこと。「人前で演奏することが好きなのでいろんなところで演奏したいです。機会があったらぜひ弾かせてください!」

優秀賞大塚 理功さん
(中国四国B)[ラヴ・キャッスル]

「人間同⼠のアンサンブル、課題は⼭ほどありますが、この⼀曲を弾ききることができて⼀安⼼しています」と話す大塚さん。選曲したのは、尊敬するチック・コリア氏の「ラヴ・キャッスル」。以前にファイナルで、チック・コリア氏の曲を演奏し、当時はまだ、タッチや⾳⾊の変化などピアノの鳴らし⽅を知らず、表現したいことをうまく表現できずに悔しい思いを経験。その後、⼀から勉強し努⼒を続けてこられました。曲はいろいろな解釈ができ消化するのに多くの時間がかかったものの⼀番楽しい時間だった、⾃分の個性をどう落とし込めるかを模索した、と練習を振り返ります。栗⽥先⽣率いるスペシャルオーケストラの皆さんと演奏できる最後の年。⼊賞への嬉しい気持ちとともに、今年は会場で結果発表と表彰式があったことにもこの上ない幸せを感じたそうです。「新型コロナウイルス感染症がまだまだ猛威を振るう中、この素晴らしいステージを⽤意してくださった関係者の皆さん、応援してくださった全ての皆さんへ感謝の気持ちを伝えたい」と話してくれました。たくさんの経験を積み、将来は⾳楽関係の仕事につきたいという夢をもって、この春から⼤阪の⾳楽系の⼤学へ進まれます。

審査員特別賞飯塚 莉瑚さん
(東京)[ラベンダーの咲く庭で]

1音1音、自分の音を気持ちよく演奏できたと話す飯塚さん。「リハーサルで確認した通りに指揮者の方と呼吸を合わせることを心掛けました。オーケストラの方々が、私の演奏を包み込み助けてくれたことが心強く、より良い演奏になりました」。「ラベンダーの咲く庭で」は、風景が頭の中に広がり、自分の出したい音をいろいろと研究できると思い選曲。広い音域を使ってアレンジされていてピアノを演奏する楽しさがより感じられたそうです。オーケストラとの演奏は初めてで、指揮者を見ること、呼吸を合わせることを意識。自分の出したい音色、ニュアンスの変化を伝えることに特に気をつけました。先生と曲の繊細さや優雅さを表現する方法を研究し、ステージは広く大きいので会場全体に届くように音の伸ばし方にも気をつけました。たくさんの素晴らしい演奏の中、受賞できたことがとてもうれしく、先生にも練習は裏切らないね、と声をかけてもらい一緒に喜んだそうです。今回の経験を活かして様々なジャンルの曲に挑戦し、自分の色の音を気持ちよく表現していきたい、そして、この大舞台で培った緊張の対処法や集中力を人生の様々なシーンで活かしていきたい、と話してくれました。

一般部門

最優秀賞坪根 和歌さん
(九州)[アディオス・ノニーノ]

「オーケストラの方々と共演できたことは本当に貴重な経験」と振り返る坪根さん。「指揮者の方をしっかり見て、オーケストラの音を聴くことに集中して演奏しました。曲の終盤ではもっとこのステージにいたい、弾き終わりたくないという気持ちになっていたのを覚えています」。ピアソラの情熱的な作品が好きで、独特なリズムや優雅に歌う部分など、変化に富んだ素敵な曲に挑戦しようと「アディオス・ノニーノ」を選曲。練習では、自分の演奏を録音し客観的に確認。タッチで音色の違いを表現することが難しく、「アドリブやカデンツも表情豊かに演奏することが今後の課題」と話します。限られた時間でのリハーサルでは、呼吸の確認を心掛け、初めて触れるピアノでタッチのコントロールにも気を配りました。結果発表の時は涙で登壇。たくさんのおめでとうという言葉に、素晴らしい賞を受賞できたと実感したそうです。応援、協力して頂いた方々と、コロナ禍で大会を開催してくださったことに心から感謝したいと話してくれました。「これからも演奏することが好きだという気持ちを表現していきたいです。クラシック、ジャズ、ラテンなど様々なジャンルの曲に挑戦していきたいと思っています」。

優秀賞広部 早久良さん
(近畿)[ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64]

「スペシャルオーケストラの皆さんとのアンサンブルを楽しみたい!」という気持ちで臨んだ広部さん。初めてのピアノ、アンサンブルならではの緊張感もある中、「ピタッと合った時は嬉しいですし楽しい」という思いで演奏ができました。同時に、本番で最大限の力を発揮することは難しいと常々思う、ということも教えてくれました。演奏曲は、ピアノメインでアレンジされていたため、先導することを意識して演奏。「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64」は、4分半という短い時間の中で、1~3楽章まで詰め込まれているアレンジに惹かれ選曲。明るい華やかさ、幸福感と憂愁の両面を合わせ持つところが気に入りました。練習では、ヴァイオリンのような音色・優雅さを、ピアノでどう表現すればよいかに苦戦。そして、原曲を参考に少しアレンジを加えて、華やかにする工夫をされたそうです。全楽章が詰め込まれているため、楽章ごとに雰囲気を変えることも意識。表彰式では「名前を呼ばれた時は正直驚きました。このような素晴らしい賞をいただけてとても光栄に思います」。これからも心の拠り所として、楽しく音楽を続けていきたい、また、音色にもこだわり続けていきます、と話してくれました。