ピアノ・ミュージックフェスティバル2020 ファイナル

PIANO MUSIC FESTIVAL 2020 FINAL

2021年3月27日(土)、2020年大会ファイナルを東京・第一生命ホールにて無観客で開催。ファイナルの模様は、後日YouTubeでLive配信を行い、多くの皆様にご覧いただくことができました。
コロナ禍での開催となり、例年とは異なる環境の中、スペシャル・オーケストラとのアンサンブル演奏に臨んだファイナリストの皆さん。
積み重ねてきた努力を感じさせる素晴らしい演奏を聴かせてくださいました。
入賞された皆さん、おめでとうございます。そして、さまざまな不安や制約の中、取り組んでくださったすべてのファイナリストとご指導・ご協力くださった皆さん、ありがとうございました!
各部門より、最優秀賞・優秀賞1名ずつ、さらに全部門の中から審査員特別賞が3名選出されました。

審査員

[審査員長]渡辺 俊幸氏(作編曲家)
山下 康介氏(作編曲家)
小原 孝氏(ピアニスト)
宮谷 理香氏(ピアニスト)
唐澤 裕典(ローランド株式会社 RJSカンパニー社長)

入賞者インタビュー

小学生部門

最優秀賞髙森 美樹夫さん
(北陸)[Romantic City]

『Romantic City』を演奏し、小学生部門で最優秀賞に輝いた髙森さん。出場予定だった2019年度ファイナルが中止となったこともあり、今回の出場をとても楽しみにしていたそうです。レッスンでは楽譜の小節ごとに番号を振り、先生から教えていただいたことを番号と一緒にノートへ書き込んで自宅での練習に活用しました。ファイナル直前には先生と一緒に街のあちこちのストリートピアノを演奏して、人に聴いてもらうことも心がけたそうです。先生に「オーケストラと演奏できるのはめったにないことで、がんばったごほうびだから楽しんで」と背中を押され、ファイナル出場経験のある方からも「オーケストラと意思疎通できるとめっちゃ楽しいよ。楽しんだもの勝ちだよ!」と応援を受けて臨んだ本番。「まったく緊張せず、むしろ、うれしくてはしゃぐような気持ちでステージに上がりました。オーケストラと一緒に演奏できて、とにかく演奏中はずっと楽しくて、演奏後はすごく気持ち良かったです」。後日結果発表で最優秀賞に自分の名前が書かれているのを見たときは、とても驚いたそうです。4月からは中学生。勉強と部活のテニスもがんばりながら、「またフェスティバルに挑戦したい」と話してくれました。

優秀賞古里 愛さん
(東京)[Romantic City]

2019年大会ファイナルで、オーケストラと共演することを非常に楽しみにしていたという古里さん。新型コロナウィルス感染症の影響でファイナルが中止になり、とても悲しかったけれど、前回の分まで思い切り楽しもうと今大会ファイナルに臨みました。演奏曲は『Romantic City』。「2019年大会ファイナルのためにT-squareの曲を練習していて大好きになりました。なので、今回もT-squareの曲を演奏曲に選びました。先生に作ってもらったソロの部分が気に入ってます」。ホールでは、表現が感じづらいと先生から教えてもらったので、普段より大きく表現することを意識しました。先生やご家族から「楽しんで来て」と送り出された本番。「リハーサルでミスをしてしまったので余計緊張しましたが、練習をすごくがんばったので、とにかく楽しもうと舞台に上がりました。最優秀賞をねらっていたのに届かず少し悔しかったけど、楽しんで弾けたから良かったです」。4年生になり、ジャズやコードの勉強も始めるという古里さん。「即興のアドリブやアレンジに挑戦したいです。いつかは自分のオリジナル曲をみんなが弾いてくれるようなミュージシャンになりたいです」。

審査員特別賞吉岡 美夢さん
(中国四国B)[君をのせて]

「フェスティバルに挑戦して4年目。ファイナルの舞台で演奏できることが夢のようです」と初出場の喜びを噛みしめる吉岡さん。演奏曲『君をのせて』は、お父様がギターで楽しそうに演奏していたのを聴いて、自分も弾いてみたいと思い選んだそうです。「パートごとに感情を変え、相手に伝わるように意識しました。アルペジオから最終音に向けての音を間違えないように、繰り返し練習をしました」。指導してくださった先生や、応援してくださる皆さんへの感謝を胸に挑んだ本番。「今まで教わったことを発揮できるよう、集中しつつ楽しく演奏できました。みんながステキな演奏をした中、私が賞をいただけたことに驚きました」。周りの方からも「コロナの中で良い話を聞けて、元気をもらったよ!!」とお祝いの言葉をかけていただいたそうです。「共演したオーケストラのクラリネットがカッコ良かったので、中学校では吹奏楽部に入り、クラリネットを演奏してみたいと思った」と、今大会を通して新たな夢も見つけた吉岡さん。「またファイナルに出られるよう努力し、オーケストラとの演奏を楽しみたいです。今回は会場に連れて行けなかった先生や家族も、今度は一緒に行きたいです」。

中高生部門

最優秀賞大塚 理功さん
(中国四国B)[イングリッシュマン・イン・ニューヨーク]

“ひと聴き惚れ” したという『イングリッシュマン・イン・ニューヨーク』を演奏し、中高生部門で最優秀賞を受賞した大塚さん。「選曲の時点で粗方イメージができていたので、アレンジも楽しくできました。自由にやりたいことをさせてくださった先生には、とても感謝しています」。コロナ禍で人と音楽をする機会が減ったことで、ファイナルに対しても “結果を残す”よりも “せっかくの機会を思い切り楽しむ”という気持ちの方が大きかったと振り返ります。「本番は反省点もありますが、特別なステージを楽しむことができましたし、“こう弾きたい”と思っていることを察知して合わせてくださったオーケストラの皆さんにはとても感謝しています」。最優秀賞に選ばれ信じられない気持ちでいっぱいでしたが、表彰状やトロフィーなどが届き、周りの方々からお祝いの言葉をいただくうちに実感が湧いてきたそうで、「このコメントを考えている間も、まだ心臓がバクバクなっています(笑)」。今大会を通して改めて音楽の楽しさを味わった大塚さん。「これからもたくさん勉強して多くの経験を積み、たくさんの方が笑顔になっていただけるような音楽に関わる仕事をしたい」と、ステキな夢も教えてくれました。

優秀賞德永 麻那さん
(九州)[パリのアメリカ人]

德永さんが演奏曲に選んだのは、『パリのアメリカ人』。「私が幼稚園の頃に、母がこのフェスティバルで演奏した曲です。当時から大好きだったこの曲を今度は私が演奏したいと思い、迷わず選びました」。オーケストラと一緒に演奏している様子を想像しながら練習に励んだそうです。練習が辛いときには、今回一緒にファイナル出場を果たしたお母様と互いに励まし合い、前を向き続けることができたと振り返ります。「関係者の皆様のご尽力のおかげで本番を迎えることができたことへの感謝を胸に、ステージに立ちました。先生からの “とにかく自分らしく演奏を楽しんで来てね”という言葉を思い出して、自分が今までステージでピアノを演奏した中で1番リラックスして、オーケストラの音をよく聞いて、味わいながら演奏することを心がけました」。入賞には驚きでいっぱいだったそうで、先生やご家族、親戚の方、お友だちから「おめでとう」と声をかけてもらって、ようやく嬉しさを感じました。「今年は受験もあり、いつもより大変な1年になると思いますが、疲れたときにはピアノを弾いて、音楽を心の支えとしてがんばります。音楽は私の生涯の宝物として大切にしていきたいです」。

審査員特別賞松村 美音さん
(近畿)[AKATSUKI]

「『AKATSUKI』は、間もなく世界中を照らす “太陽” をイメージした曲ではないかと私は解釈しています。今まさに新型コロナという先の見えないトンネルに居るこの世界を明るく照らし、また再び明るく活気ある世界に戻る力を与えてくれるような力強い曲であるところがとても気に入っています」と演奏曲について語る松村さん。これまで音楽関連のコンクールには何度か出場経験があるものの、今大会へは1人で独学で挑んだといい、手探り状態の中、これまで身に着けた知識と経験で練習を重ねました。「思いっきり楽しみたい!」という気持ちで臨んだ本番。「幼少期から触れてきた総合的な音楽知識、表現、感性でオーケストラとアンサンブルさせていただきました。想像以上に楽しくて感激し、また経験したいと思いました」。高校では所属するオーケストラでトランペットを担当しており、今回ピアノ奏者としてアンサンブルしたことで、新しい視点での学びもあったそうです。「これからもずっと音楽の世界で生きていきたいです。もっと色々な音楽に触れ、色々な楽器を学び、楽しみ、音楽制作もしたいです。作曲、編曲などにもチャレンジして、より幅広く音楽を楽しみたいです」。

一般部門

最優秀賞川島 櫻子さん
(東京)[アフリカ]

『アフリカ』を演奏し、一般部門で見事最優秀賞に選ばれた川島さん。「中学1年生のときにも一度ファイナルに出場したのですが、当時はオーケストラと合わせるのも初めてで少々不本意な演奏になってしまいました。そのことも踏まえて、レッスンでは先生から “オーケストラは必ず合わせてくれる。自分の思うテンポを大切に弾くこと”と指導を受けました」。「楽しんでね!」と先生から送り出された本番当日。「リハーサルが一番最初、本番の演奏順が一番最後で、“こんなに緊張するスケジュールもなかなかないぞ”と思っていました。リハーサルでかなり演奏が前に走ってしまった感じがあったので、本番ではとにかく休符とテンポ感を意識しました」。本番中のことはあまり覚えていないそうですが、予想外の入賞に喜びがあふれました。現在は美術大学に在籍し、さまざまな制作活動をしているという川島さん。「大学でやっていることの延長線上のような感じで漫画を描いたり動画を作ったりしているので、将来の足がかりにできるよう努力していきたいと思っています。ピアノを弾くこと、歌うことも好きなので、音楽もまだまだ続けていきたいです♪」。

優秀賞伊藤 美音さん
(東海)[序曲「1812年」]

“ピアノとオーケストラが一体となって歌い上げる部分や、次々と変わっていく場面展開が魅力的” と、演奏曲『序曲「1812年」』について語る伊藤さん。「こう弾かなくてはいけない」と表現を決めてしまわず、オーケストラにあわせて臨機応変に対応できるよう心がけ、一方「ここはついてきてほしい」と思うところは積極的に表現したそうです。今聴こえてくる音に合わせて自由に表現するよう先生からも助言をうけました。「本番で特に意識したのは、タッチのコントロールです。 Facet Grand Pianoは初めて触れるピアノでしたので、より慎重に、でも臆せず自分のイメージする音が出せるように心がけました。久々のステージ演奏は、とてもエキサイティングで楽しかったです」と振り返ります。今回はYouTube Liveでの開催だったため、普段会場に足を運べないお友だちに観てもらえたこともうれしかったそうです。
「1日も早くコンサートや演奏を自由に楽しめる日が来ることを願っています。フェスティバルには何度も参加していますが、今回ほどリアルタイム演奏の楽しさ、大切さを感じたことはなかったと思います。開催していただき、ありがとうございました!」。

審査員特別賞坂田 佳誉子さん
(関東信越)[アフリカ]

“私らしいのはこれ!”と選んだ『アフリカ』を演奏し、初入賞を果たした坂田さん。先生やご家族からの「本番は一瞬で終わってしまうから、とにかく楽しんで!」というアドバイスを胸に、長年の憧れだったファイナルの舞台に立ちました。「演奏前の出場者コメントを聞いて、これまでのことが思い返され、“今憧れのステージに立っているんだ”という実感が湧いてきて、感動で胸がいっぱいになりました。演奏が始まるとだんだん緊張がほぐれ、オーケストラの音も聴こえるようになり、自分らしい演奏ができたと思います」。結果は先生からの電話で知ったそうで、先生には喜びとこれまでの感謝を伝えました。「小さい頃からお世話になっていた地元愛媛の先生や家族からもお祝いの言葉をいただき、自分はたくさんの人に支えられているんだと実感し、支えてくださる方々に感謝を伝えることができました」。今大会を通して “諦めないこと” の大切さを改めて感じたという坂田さん。「本番までに何度心が折れたかわかりませんが、それでも逃げずにがんばったという経験は、これからの私の大きな糧となると信じています。この経験を忘れず、自分の進みたい道をこれからも突き進んで行きたいと思います」。