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伝統のの品番“SH”を冠した最新アナログ・モデリング・シンセSH-201。シンセサイザーの原点を踏まえた操作性と、存在感のある分厚いサウンドで好評を博しているが、付属の専用エディター・ソフトの充実ぶりも大きな特徴だ。注目すべきは、単体で使えるだけでなくDAWソフト上でプラグインとしても動作する点。先ごろ行われたバージョン・アップでは、従来からのVSTiに加えAudio Unitsにも対応を果たし、幅広いDAWと組み合わせて使えるようになった。今回はそのエディター・ソフトにスポットを当てて、シンセ・アーティスト齋藤久師のコメントを交えながらその魅力に迫ってみたい。
さいとうひさし:1991年にテクノ・ユニットGULT DEPのメンバーとしてデビュー。その後さまざまなクラブ系ユニットに参加し、海外でのディストリビュートも積極的に行う。最近では8bit project『FAMLILIAR COMPUTING WORLD』に参加。SH-201も多用されているので要チェック!
SH-201とは? ……音作りの楽しさを誰もが実感できるアナログ・モデリング・シンセの最新鋭機
 SH-201の構成は、シンセサイザーの基本を踏襲したシンプルかつ分かりやすいもので、その各部 は最新機種ならではの高い充実度を誇っている。 SUPER SAWやFEEDBACK OSCを含む多彩 な波形をそろえた2基のオシレーターを筆頭に、リン グ・モジュレーターも搭載したミキサー、切れ味鋭い マルチ・タイプのフィルター、ピッチ/フィルター/アンプそれぞれに用意されたエンベロープ、2つのディスティネーションを設定できるLFO(2系統)など、操作するほどにサウンド・メイキングの楽しさや奥深さを実感できる内容だ。加えて、32種類のパターンを備えたアルペジエーターや、同時使用可能なディレイ&リバーブ、外部オーディオ入力をアグレッシブに加工できるオーディオ・フィルターなどを 装備。作り出せるサウンドの幅は驚くほど広い。
 そんなSH-201の可能性をさらに広げるのが付属の専用エディター・ソフトだ。本体以上に豊富なパラメーターで細かい音作りを行うことができるだけでなく、DAWのプラグインとして使えることのメリッ トは計り知れない。PCとの接続はUSBケーブル1 本で、オーディオ/MIDI両方のやり取りを行うため、外部インターフェースがなくても音出しが可能な点にも注目したい。早速、以下のセクションで具 体的な活用例を見ていくことにしよう。
SH-201エディター活用術 ……ハードウェア・シンセとソフトウェア・シンセの垣根を越えて広がる可能性
APPLE Logic Pro上でプラグインとして起動!
 バージョン・アップでAudio Unitsに対応したことを踏まえ、今回は APPLE Logic Pro 7.2でチェック。「エディター・ソフトをインストールすると、Logicのプラグイン・メニューにRolandというカテゴリーができて、普通のプラグインと同じように使えます。全く違和感ないですね」という齋藤の言葉どおり、DAWとの連携は実にスムーズだ。SH-201はマルチ音源ではないが、複数のパートで使う場合はMIDIトラックごとにエディターを立ち上げて鳴らしたものをオーディオ・トラックにバウンスしていけばいい。後から音色を修正したい場合はMIDIトラックに戻れば設定は完全にリコールされる。まさにソフトウェア・シンセ感覚の操作感だ。
 しかも、プラグインとして動作しているのはあくまでエディター・ソフトであり、シンセ・エンジンはSH-201本体のものを用いているため、CPUの負荷が抑えられるのもうれしい。「ソフトウェア・シンセと併用しても音が遅れたり間引かれたりすることなく、音楽的に使っていくことができます」

SH-201エディターがAudio Unitsに対応したことによって、他のプラグイン・インストゥルメントと同じ感覚で使うことができる
 
SH-201のUSB端子は、USB-MIDIとUSBオーディオの両方に対応してお り、PCとの接続はケーブル1本でOKだ
Logicのインストゥルメント選択メ ニューにRolandというカテゴリーが現れ、SH-201エディターを選択できる
オートメーションを使った動きのある音作りも楽勝!
 プラグイン動作時におけるもう1つの大きなメリットは、手軽にMIDIオートメーションを記録できる点。本体のつまみやスライダーの動きをそのままオートメーションとして書き込むことができ、煩雑な設定なしにプレイバック可能だ。
 「ハードウェアのシンセをオートメーションで動かそうと思ったら、普通はコントロール・チェンジを出したりするのがけっこう面倒なので、この手軽さはすごく良いですね。単調なフレーズにフィルターをオートメーションで開閉して動きをつけたり、オートメーションのデータを何小節かごとにコピー&ペーストして面白い効果を作ったり……そんなことができるのもMIDIオートメーションならではですね。微妙なカーブを後から修正するのもコンピューター上で行えるので楽勝です」

MIDIオートメー ションの書き込みも自 由自在。入力はSH-2 01本体のつまみやス ライダーを動かすこと で簡単に行える
アルペジエーターをDAW上で立ち上げると曲のBPMにシンク可能!

エディター・ソフト 上では左のようなマト リクス画面でアルペジ エーターのフル・プロ グラムが行える
 SH-201に搭載されたアルペジエーターには32種類のパターン・テンプレートが用意されているが、エディター・ソフトを使うことでフル・プログラムが可能になる。しかも、プラグイン動作時にはアルペジオのスピードを曲のBPMにシンクさせることもでき、その活用度は倍増。設定は各パッチにつき1つずつ保存できる。
 「通常のアルペジオ演奏だけでなく、音に動きをつけるパラメーターの1つとしてアルペジエーターを使うことも多いので、その自由度が高いのはうれしいです。これを使って他のソフト・シンセを鳴らすという使い方もアリですし、プログラムの組み方によってはコード・メモリー機能のような使い方もできます。テクノ的な曲に限らず、活用できる範囲は広いと思いますよ」
SH-201ならではの機能をライブでもフル活用!
 最初の項で触れたように、SH-201のUSB端子はMIDIとオーディオの両方に対応しているため、ノートPCと組み合わせてシンプルなライブ用セッティングを組むこともできる。本体重量も5.2kgと軽く、可搬性の面でもポイントが高い。
 ライブ使用時には、SH-201の特徴的な機能であるオーディオ・フィルターが大活躍。PCからの入力をこれで加工することにより、クラブ的なフィルター・プレイも思いのままだ。DAWソフトやループ・シーケンサーで作った音だけでなく、iTunesやDVDなどのサウンドに使っても面白いだろう。
 「また、パフォーマンス的に面白い装備の1つにDビーム・コントローラーがありますが、ここにはパネル上の任意のパラメーターをアサインできるんです。その設定も、FILTER/ASSIGNボタンを押しながら目的のつまみやスライダーを動かすだけでOK。フィルターのカットオフやLFOのレートに使うなど、アイディア次第でいろいろ面白いことができますよ」
 単体のアナログ・モデリング・シンセとしても非常に魅力的なSH-201だが、エディター・ソフトを使うことによってハードウェア/ソフトウェア両方のメリットを互いに活かせるのは画期的。「音が良くて面白く使えるシンセを探している人は、ぜひ一度試してみてほしいですね」と、齋藤も興奮を隠せない様子だった。

SH-201のオーディ オ・フィルターを使っ て、PCからの音声入 力をリアルタイムに加 工。そのままライブに 持ち出せるセッティン グなので、クラブ・プレ イにも最適だ


手をかざしてサウン ドに変化をつけられる Dビーム・コントロー ラー。ここにはSHの任 意のパラメーターをア サインできるため、活 用の幅はかなり広い
最新版エディターの入手はROLANDのWebサイトから
 SH-201に標準で付属しているエディター・ソフトはVSTi対応版で、今回紹介したAudio Units対応バージョンは、ROLANDのWebサイトからダウンロードして使うことができる。なお、ダウンロード・ファイルの中にはSH-201のボーナス・パッチとして、リチャード・バルビエリ、ジャン・ミッシェル・ジャール、ジョーダン・ルーデス、齋藤久師の手による音色データを特別収録。いずれも個性あふれるサウンドであるだけでなく、それぞれの音作りの秘密をエディター 上で確認するのも楽しいだろう。
 なお、ROLANDサイト内の人気コンテンツ“MC-CLUB”でも、齋藤久師によるセミナー「シンセサイザー・カルティズム for SH-201」を連載中(www.mc-club.ne.jp/synthesizer/)。今回の記事で紹介している機能を使ったサウンドの試聴もできるので、ぜひチェックしてほしい。
SH-201エディターはVSTi版が本体に付属。
上の画面はSONAR 6で立ち上げたところ
 
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