はじめに
米国大統領選挙でオバマ陣営が活用して注目を集めた、インターネット・ライブ配信サービス『
Ustream』とリアルタイム・ブログサービス『
Twitter』。2010年に入って、この2つのサービスを利用する企業が増え始めています。
1月に米国ラスベガスで開催された『International Consumer Electronics Show』(国際家電ショー)では、あるメーカーの製品発表プレスカンファレンスにUstreamとTwitterが利用され、ラスベガス発・全世界同時イベントの様相を呈しました。これまでは、その場にいる人だけが製品発表の臨場感を味わい、一般の人はメーカーのプレスリリースや、テレビ/ラジオ/雑誌などが報じて初めて製品発表を知ることができるだけでした。
ところが、Ustream/Twitterのまったく異なる2つのサービスが連携することによって、新製品情報をUstreamでリアルタイムに視聴するとともに、その映像を見ながらTwitterでリアルタイムにツイート(コメントを投稿)することができ、相乗効果で視聴者数がねずみ算的に増加することもあるのです。これにより、新製品の世界同時公開が可能になったと言えるでしょう。

ライブ配信中のUstream
Ustream配信のベースはソフトウェア処理
Ustreamの第1の利点は、誰でも手軽に始められる無料サービスであることです。Webカメラとマイクを内蔵したノートPC/Macが1台あれば、簡単にライブ映像を流すことができてしまいます。しかし、内蔵Webカメラの映像だけでなく、複数の映像を組み合わせたり、テロップを入れたり、チャット画面を挿入したりというように、少し手の込んだ映像を作ってみたいと思ったときに、いきなり敷居が高くなるのもUstreamの特徴。まずは、ベースとなるライブ配信の方法を整理してみましょう。
(1)Ustream標準ライブ配信機能
Ustreamにログインすると、右上に『ライブを開始』と書かれた緑色のアイコンがあることに気付きます。これが、ブラウザ上で使用できるUstream標準ライブ配信機能への入口。このアイコンをクリックすればすぐに放送が開始されます。ストリーミングだけでなく、放送の記録、テロップの挿入、TwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)との連携、アンケート調査ができる投票機能、他の人が配信しているビデオ画面をPinPのようにはめ込めるCoHost機能などが利用できます(CoHost画面は記録できません)。

Ustream標準ライブ配信機能

Ustream Producer
(2)Ustream提供ライブ配信ソフトウェア
『Ustream Producer』(無償)
Ustreamは、もっと手軽に気軽に放送できるようにするためのソフトウェアを無償提供しています。これがUstream Producer。タイトル機能がなく、PinPと切り替え効果もそれぞれ3種類に限られてしまいますが、Webカメラ映像だけでなくディスプレイ画面を配信するためのScreencast機能が搭載されています。
(3)Ustream提供ライブ配信ソフトウェア
『Ustream Producer Pro』(有償)
無償のUstream Producerにはないプレビュー機能とタイトル機能が追加され、PinPのバリエーションも増えています。
これらのライブ配信方法には一長一短がありますが、大きなリスクとなるのが、オールインワンのソフトウェアベースであるということ。映像の切り替えやキャプチャー、タイトル挿入、エンコードや配信までのすべてを同一プラットフォームでソフトウェア処理するため、CPUへ大きな負荷がかかってしまうのです。また、すべてを1台のPC/Macで行うため、担当者が操作やトラブル回避に熟練していないと、不具合発生時における問題の切り分けが難しくなり、原因把握と復旧に無駄な時間を費やすことになりかねません。PCの再起動が必要となれば数分間の配信停止にも繋がってしまいます。これでは、時間やコストをかけずに映像利用したいという企業の要望には十分に応えられないのではないでしょうか。
機能ごとにハードウェアを配置し、安定した放送を
それでは、実際の現場はどのように運営されているのでしょうか。代表的な手法として、映像のスイッチング/タイトルやグラフィックの挿入/オーディオの切り替えなどをハードウェアで行い、PC/Mac側はUstream標準機能やエンコードなどに限定して使用することをご紹介します(下図参照)。専用のハードウェアを使用することで操作しやすく、トラブル回避にも配慮できるのです。
本格的なUstream配信でまず戸惑うのは、複数のカメラ映像と音声処理部分ではないでしょうか。そこで、映像の切り替えにビデオ・ミックス/ライブ・スイッチャー
LVS-800、オーディオ系の強化として24ビット/96kHz 16チャンネル・デジタル・ミキサー
M-16DXを組み合わせてみましょう。ビデオ・ミキサーとオーディオ・ミキサーを加えただけなのですが、想像以上に操作がすっきりとしたものになるはずです。
次に気になるのは、PC画面や画像の見せ方。Ustream ProducerのScreencast機能などを使用してみるとわかりますが、アプリケーション操作がしづらくなったり、見せたくないものが放送中に流れてしまったりということも少なくありません。よりスマートに、画像や映像を挿入するためにはビジュアル・サンプラー
P-10を活用するといいでしょう。
ここで紹介した3つの機器は、2010年3月28日に行われたソフトバンク30周年記念イベント『ソフトバンクオープンDAY』の際に、社員食堂内に仮設されたUstream Studioでも活用されていました。この時は、カメラ4台と、ハンドマイク/ワイヤレスマイク各数本を切り替えながら、2台のPCへと出力しました。それぞれのPCでUstream Producerを通してPC用と携帯用にエンコード。これは複数のビットレートで同時配信するための処置ですが、別のShowに対して同時配信して放送事故を避けるといった活用もできます。
 |
*USTREAM ProducerでのUSB選択と制限について
Win環境ではソフトウェア側でUSB IN17/18に設定、Mac環境ではUSB1/2の認識のみのため、M-16DXの1,2ch入力のみ使用ができます。(Mac OSX 10.5にて確認) |
後編では、各機器の詳細をご紹介します。
■Ustream
http://www.ustream.jp/
■Twitter
http://twitter.com/
