藤本健のヘッドホン選び、ここがポイント!スタジオ・モニター・ヘッドホン編
スタジオ・モニター・ヘッドホンとは?
一般的にヘッドホンといえばCDやデジタル・オーディオ・プレイヤーの再生音、つまり完成した曲を聴くためのリスニング向けヘッドホンが主流です。リスニング向けヘッドホンにもさまざまな製品がありますが、基本的な方向性としては音楽をいかに気持ちよく、魅力的に鳴り響かせるかを目指しており、そこには開発者の考える魅力的なサウンドを実現するため、固有の色付けがされています。つまり製品それぞれが独特のキャラクターを備えている、といえるでしょう。
リスニング向けに対し、ある意味では対極にあるといえる存在がスタジオ・モニター・ヘッドホンです。これは楽器演奏やミキシング/マスタリング時にモニターするため、つまり、今まさに作っている曲を耳で確認するためのヘッドホン。そのためスタジオ・モニター・ヘッドホンでは原音に対して過剰な色付けは禁物となります。演奏をモニターしたサウンドが実際の演奏音からかけ離れては、プレイヤーが意図した音楽をリスナーに届けることはできません。
スタジオ・モニター・ヘッドホンにまず求められる資質は、原音を忠実に再現できること。そのためには特定の音域だけが突出することなく、全域をバランスよくフラットに出力できることが重要です。一音一音を確認できるよう、ダイナミック・レンジが十分に広く、そして解像感が高いことも必要でしょう。
そして忘れてはいけないのは、じっくりと演奏や曲作りが行えるよう、装着感に優れることも求められます。装着していて不快感を感じるようなヘッドホンでは長時間のステージには耐えられませんし、ルーズ・フィットでは不快感はなくともノリのよい演奏は行えません。
原音を忠実に再生する、この方向性は一見単純なようでありながら、スタジオ・モニターとして万人が満足行くヘッドホンは意外なまでに難しい設計条件です。ローランドは専業楽器メーカーのノウハウを活かし、スタジオ・モニター・ヘッドホンをデザイン。フラットな特性を実現しながら、楽器を弾く楽しさを感じられるサウンドを備えています。
製品レビュー
新開発されたという45mm大口径ドライバを搭載した密閉式スタジオ・モニターがこの
RH-300です。ハウジング部はマット仕上げのアルミ・プレート仕様となっており、ルックスの点でも高性能なヘッドホンであることを期待させます。
大口径ドライバを内蔵しているということもあり、イヤー・パッドはかなり大型で、ほとんどの人は耳をつぶさずに完全にカバーできる形状になっています。パッドの素材も硬すぎず柔らかすぎずで、決して超軽量な部類のヘッドホンではありませんが、装着感はかなり軽く感じます。長時間の演奏およびリスニングにも不快感は出ないでしょう。
スタジオ・モニターはまず第一に原音を忠実に再生することが目的ですが、RH-300は特に高音部の立ち上がりと収束が速く、キレを感じるサウンド。低音部も適切なレベルで鳴り響き、全域のバランスのよさを感じます。またモニター的な方向性でありながら、微妙に色気を感じるサウンドとなっていることも特徴で、リスニング用途としても魅力あるヘッドホンです。
RH-A30はオープンエア型のスタジオ・モニター・ヘッドホン。ドライバー・ユニットは45mmという大口径のものを搭載しています。ハウジング部にはやはりアルミ素材を使用しており、ルックスでも雰囲気のある仕上がりです。
イヤー・パッドはドライバーおよびハウジングのサイズとの兼ね合いもありかなり大型ですが、クッションがかなり厚く、また素材そのものもソフトなモケット調となっています。比較的タイトに締め付けてフィットさせるタイプのデザインにもかかわらず、このイヤー・パッドのおかげか装着感は良好。長時間の使用でも痛みを感じることはないでしょう。
音質はスタジオ・モニターらしい、全域のバランスに優れた傾向。叩けば響くといった、反応の素早さが印象的。またオープンエア型ということもあり、重低音の抜けが非常によく音の濁りを感じることがありません。
オープンエア型ならではの特徴が、外部の音も聞こえてくること。そのため他パートの音を確認したいステージ上、また練習にも向いているでしょう。その反面、自身の音は盛大に漏れますので、屋外リスニングにはちょっと無理があります。

ローランドの密閉型スタジオ・モニター・ヘッドホンとして最もベーシックな製品が
RH-200および
RH-200S。ドライバーユニットは40mmを搭載しているためハウジング部はすこし小ぶりで、シリーズ中でも最も軽量なモデルとなっています。
イヤーパッドは上位モデルと同様に柔らかな素材感。すこしサイズが小さいため人によっては耳に被るかもしれませんが、きつく締め付けるデザインではないため、違和感は感じません。かといってルーズではなく、多少頭を振っても問題のないフィット感を実現しており、誰でも満足のいくレベルでしょう。
音質はいかにもスタジオ・モニターという雰囲気で、重低音から高音域までまんべんなく、フラットに出力されます。上位モデルに比べるとドライバー径が小さく、スペック的に再生レンジが狭いことを心配するかもしれませんが、実際に試聴して問題を感じることはありませんでした。本格的なスタジオ・モニターを手ごろな値段で使いたいという人には、十分なレベルで応えてくれるでしょう。本体の軽さと合わせ、持ち運んで屋外でのリスニングにも向いています。
なおブラックのRH-200とシルバーのRH-200Sは本体カラーが違うだけでなくRH-200はカール・コード、RH-200Sはストレート・コードとケーブルの仕様も異なっています。同じヘッドホンを使用スタイルに合わせて選べることも魅力です。

▲RH-200

▲RH-200S