藤本健のヘッドホン選び、ここがポイント!パフォーマーズ・ヘッドホン編
パフォーマーズ・ヘッドホンとは?
モニター・ヘッドホンの中でも少し特殊な進化を遂げたジャンルが、いわゆるDJユース用のヘッドホンです。DJミキサーはひとつのヘッドホンでフロアに現在流れている曲と、次にかける曲のキュー出しをミックスして出力することができますが、人によってスタイルはさまざま。片方の耳でヘッドホン・モニターを、もう片方の耳ではフロアの生音を確認する、片耳モニターを行う場面は少なくありません。
このためDJユースのヘッドホンは、音作りはスタジオ・モニターに近く、さらにハウジング部の稼動範囲は広く、という方向性で作られています。これはある意味では汎用性が広く、もちろんDJ用途以外に楽器演奏や曲作りにも活用できるジャンルです。
フロアを鳴り響かせる重低音はDJの醍醐味。しかしそれを追求するあまりか、DJ向けヘッドホンの中には低音の出力が強すぎ、全体としてバランスを崩している場合があります。低域が強いヘッドホンは迫力があるともいえますが、好みとはいえ実際の出音とモニター音の方向性が異なれば、曲作りには使いづらくなり、問題点となります。
ローランドのパフォーマーズ・ヘッドホンは、モニター・ヘッドホンとしての音作りと、DJ向けヘッドホンの機能性を両立。稼動範囲の広いハウジングにより多彩なモニタリングに対応しただけでなく、スタジオ・モニター・ヘッドホン同様の素直な傾向のサウンドが特徴です。コンパクトに折りたためるため、機材の多い移動時にも便利です。
たとえばサンプラーを使う場合。自宅でネタの仕込みを行い、ステージ上でもそのまま同じヘッドホンでモニター。つまりトラック作成と現場の両方に対応できるヘッドホンを目指しています。
製品レビュー
フラッグシップ・モデルにふさわしく、大口径45mmのドライバー・ユニットを搭載したパフォーマーズ・ヘッドホンがこの
RH-D30。新開発されたこのドライバー・ユニット、周波数特性は7〜32000Hzと驚きのワイドレンジを誇っています。
イヤー・パッドはたっぷりと厚みがとってあり、素材もソフトなもの。装着してみるとそれほど締め付けはきつくありませんが、不思議とフィット感は良好。ハウジング部の稼動範囲が広いため、どのようなスタイルでも自在に片耳モニターが可能です。またハウジング部を反転させ、折りたためるのも持ち運びには便利ですね。
音質面では、一聴して自然な傾向のサウンドに改めて驚きました。不自然ではなく、それでいて厚みを感じさせる低域の鳴り方はまさにモニター・ヘッドホンのもの。高域の反応も速く、豊富な情報を余すところなく伝えてくれます。活力あふれるサウンドでありながら、特定方向への色付けがされていないことに好印象を感じます。DJ向けヘッドホンの機能性に惹かれつつも音質面ではやはりスタジオ・モニターにはかなわないと思っている、そんな人に試聴して欲しいヘッドホンです。
40mmのドライバー・ユニットを搭載したパフォーマーズ・ヘッドホンが
RH-D20。やはり新開発されたというこのドライバーは周波数特性10〜30000Hzと、フラッグシップRH-D30同様のワイドレンジを目指したものです。
イヤーパッドもやはり分厚く、ソフトなもの。サイズそのものは一回り小ぶりなのですが、違和感を感じることはありません。締め付けは少しタイトなイメージで、かといって不快感はなく、数値以上にヘッドホンが軽く感じます。ハウジング部もRH-D30同様に横方向90度の稼動範囲となっており、片耳モニターもしやすいですね。
音質面では高音部の反応速度が印象的。立ち上がりと収束が速く、ピークを確実に再生しながら滑らかに繋がっていきます。RH-D30と比べると低域の出方に少し違いを感じますが、全域のバランス感は優れており、同じ方向性での音作りを目指したことがわかります。折り畳み可能で可搬性にも優れているので、デジタル・オーディオ・プレイヤーで本格的なDJ向けヘッドホンを使いたいけれどもドンシャリ傾向の製品はちょっと……という人にもお勧めです。