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イベント・レポート

アクア・トリニティ 〜チェンバロ三重奏の響き〜
バロックからピアソラまで

日時
2009年10月18日(日)17:00開演
会場
ワーナー・マイカル・シネマズ港北ニュータウン シネマ4
出演
礒絵里子(ヴァイオリン)
水谷川優子(チェロ)
水永牧子(チェンバロ)
使用楽器
C-30(電子チェンバロ)

チェンバロ三重奏

ワーナー・マイカル・シネマズ港北ニュータウンにて行なわれたローランド・ライブ・イン・シネマ・コンプレックス「ORGAN 3 DAYS !」の3日目、第3ステージは礒絵里子さん、水谷川優子さん、水永牧子さんの三人によるチェンバロ・トリオ「アクア・トリニティ」のライブです。三人はそれぞれに日本のクラシック界で活躍中の演奏家で、同じ舞台での共演は期待が膨らみます。アクア・トリニティという名前は、三人の姓がすべて水に関連していることからついた名前であり、目の覚めるようなブルーの衣装で登場した三人はとても華やかでした。 最初のヴィヴァルディ「“春”(四季より)」はヴァイオリンの鮮やかな旋律と、それに呼応するのびやかなチェロと、和音やリズムを支えるチェンバロが見事に調和した素晴らしい演奏でした。

「水」をモチーフにしたトリオ 「アクア・トリニティ」

「水」をモチーフにしたトリオ 「アクア・トリニティ」

水永さんのチェンバロ独奏(スカルラッティ)があり、再び三人の演奏に戻りますが、映画館でのライブということで、映画にちなんだ新しいレパートリーに挑戦しています。ミュージカル「キャッツ」より「メモリー」やディズニー映画より「星に願いを」「いつか王子様が」「ニュー・シネマ・パラダイス」など親しみのある曲が続きます。

映画館というカジュアルな場所でのコンサートということもあり、曲の間で三人はそれぞれにマイクを持ち、いろいろなトークで楽しませてくれます。水永さんの弾く電子チェンバロ C-30 の音色バリエーションが豊富で、いろいろなチャレンジができることや、音量が大きく出せるためヴァイオリンやチェロと相性がよいという、楽器の話が次々と出てきます。
そして普段チェンバロでは演奏することのないシューマンの「トロイメライ」とモンティの「チャールダッシュ」の演奏がありました。ロマン派の曲がチェンバロの伴奏で弾かれるというケースは、厳格なクラシックのコンサートではあまりないようですが、アクア・トリニティの三人が奏でるとたいへん美しく調和して、ごく自然に響きました。

三人のトークも今回の見どころ

三人のトークも今回の見どころ

後半は一転してピンクの衣装に替わって登場の礒さんと水谷川さんにより二重奏で「ゴッドファーザーのテーマ」が演奏されます。映画の中の二人の登場人物をヴァイオリンとチェロで演じ分けるアレンジがなされているという説明がありました。
「黒いオルフェ」「私のお気に入り」などのモダンな曲、オーケストラ曲である「アルルの女」などがチェンバロ三重奏で演奏されます。オーケストラ・アレンジがたった3人で奏でられるわけですが、オーケストラにある華やかな印象を損なわず、バランスよくチェンバロ三重奏にアレンジされていました。おそらく皆さんかなりの難易度を伴う演奏でしょう。

映画音楽などを中心とした後半の演奏

映画音楽などを中心とした後半の演奏

最後にバンドネオンの名手である作曲家ピアソラの解説がありました。そしてバロック曲ばかり弾いていた水永さんが礒さんや水谷川さんと出会ってから、現代曲であるピアソラのような曲も弾くようになり、チェンバロ三重奏の新しい世界ができあがったとのことです。続けて、ピアソラの作品「タンティ・アンニ・プリマ」「リベルタンゴ」の演奏がありました。「チェンバロの音色は絶対にピアソラの音楽に合う」という三人の信念は的を射ており、情熱的な曲調にぴったりでした。
そして全プログラムが終わっても拍手は鳴り止まず、アンコールでグノーの「アヴェ・マリア」が静かに奏でられました。

すべての演奏のあとで「私たちは今後『チェンバロ・トリオのパイオニア』と言われるように頑張りたい」とコメントがありました。また C-30 を開発したローランドをも「パイオニアである」と褒めていただきました。それは C-30 が電子楽器であるがゆえにアクア・トリニティの三人がさまざまなチャレンジを実現できたということだと思えます。
古楽器であるチェンバロを使いながらもさまざまな新しい音楽にチャレンジしている姿、そしてそれが高い音楽性で一つに調和しているさまは少なくともアクア・トリニティ以外に例がありません。今後の活躍が楽しみなクラシック・ライブでした。

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