2005年11月3日〜6日、パシフィコ横浜で開催された「楽器フェア」のローランド・ブースの模様をご紹介いたします。

 
   
   
 
     
 

 中野豊(g)、清水玲(b)、山崎彰(d)といった多彩なテクニックを誇る実力派プレイヤーが、Roland/BOSSのニュー・アイテムを使い、一歩進んだバンド・サウンドを会場に響かせました。
 中野氏は、この楽器フェアで発表された最新ループ・ステーションRC-50を使用。リアルタイムでサンプリングしたギター・フレーズをループ再生し、それをバッキングとしてギター・ソロを重ねるといった斬新なアイデアを披露していました。
 一方、新開発のベースアンプD-BASSを奏でる清水氏は、ウッドベースとエレキベースと使い分け、COSMプリアンプ・タイプ"SUPER FLAT"のレンジの広さと"VINTAGE"の暖かみのある重低音を轟かせました。さらにアクティブ・スピーカー・コントロール技術による音の立ち上がりのよさを体感すべく、超高速のスラッピングを炸裂させると、音の粒立ちのよさはもちろん、清水氏の超テクプレイに客席からは大きな歓声が上がりました。
 MCクラブ"V-Drumsのほほん講座"を連載している山崎氏は、スタンダード・モデルのTD-12KSをセッティング。キットを選ぶだけで、誰でも簡単に"ひとりアンサンブル"が楽しめるという、TD-12だけに搭載されているユニークなアンサンブル・プレイ機能をフィーチャーし、V-Drumsが持つエンターテインメント性という新たな魅力にスポットを当てていました。

 
     
 

 V-SynthFantom-Xを自由自在に操るデビッド・オーランド(key)と、ドラムの既成概念を越えた多彩なパフォーマンスを展開したマイケル・シャック(ds)により行われたダンサブルなライブは、新しい音楽の可能性を感じさせてくれる、非常に魅力的なステージでした。
 中でも大きな注目を集めていたのが、マイケル氏のドラム&パーカッション・パフォーマンス。SPD-Sに仕込んだ多彩なループやボーカル・フレーズをリアルタイムでコントロールしながらステージ上でシーケンスを"プレイ"する様子は、まさに斬新のひと言。「No Sequencer! No CD Player! No Desk Top!」という彼の言葉の通り、V-Drumsをはじめとする新世代エレクトロニック・パーカッションを使えば、シーケンス・パートまでをもプレイヤーが自由にコントロールできるというプレイ・スタイルは、会場を訪れた多くのミュージシャンにも大きな衝撃を与えていたようでした。
 そんな迫力のライブをさらにエキサイティングなものにしてくれたのが、会場内のスクリーンに映し出された映像。人気のVJソフト「motion dive .tokyo」と、専用コンソールEDIROL MD-P1によるVJプレイに加え、Fantom-XやV-DrumsのV-LINK機能を使ってステージ上のプレイヤー自身が映像までコントロールするといったユニークな試みも取り入れられていました。

 
     
 

 実力と創造力を兼ね備えた先進的ギタリスト矢堀孝一氏、鍵盤を自在に操るオルガニスト大高清美さん、そしてロック、ポップス、ジャズなどあらゆるジャンルのドラミングをこなす女性ドラマー臼井かつみさん。この3人の絶妙のアンサンブルに、客席を埋めた多くの観客が魅了されました。
 普段からVG-88GR-20を愛用している矢堀氏は、これらのツールを完全に自分のギターサウンドの一部として消化しており、極自然にGR-20のエスニック風なループを使ったり、フレーズによってVG-88の多彩なサウンドを使い分けるといったギター・プレイは、"さすが"のひと言。
 そのギターを支えるのは、ベース・パートからメロディー、そしてコードまでをひとりで演奏する大高さんです。今回は、VK-88に加えFantom-Xaをセッティングし、フルートのような心地よい音色でメロディーを奏でていたほか、エレピ・サウンドにはギター用のロータリー・アンサンブルRT-20をかけるといった独自のアイデアで、エレピをさらに印象的なサウンドに仕上げていました。
 今回初めてV-Drumsを叩いたという臼井さんは、V-Cymbalのカップとボウの使い分けやダイナミックスによる演奏表現だけでなく、アコースティック・スネアと同様に叩く位置で響きが変わるV-Padの特性を使いながら、微妙なニュアンスまで表現したドラミングで、女性ドラマーならではの、繊細さと表情の豊かさを感じさせました。
 このような高い音楽性を持ったミュージシャンによる演奏は、聴き手に安心感と安らぎを与えてくれます。そんな"大人の音楽"を満喫できた、とても贅沢なステージでした。

 
     
 

 世界的シンセサイザー・プログラマーの第一人者、松武秀樹氏が率いる"Logic System"。その結成25周年にあたる今年にリリースされたニューアルバム『Everything is in the Nature』を中心としたスペシャルなライブがローランド・ブースで開催されました。
 センターに陣取った松武氏はV-Synthをメインに、V-Synth XTを使った往年のボコーダーや、JUNO-Dのツマミを駆使したリアルタイムな音色変化をフィーチャーし、シンセサイザーの魅力を余すところなくステージ上で表現していました。
 そのシンセ・サウンドの渦に、入江純氏のV-Bassと山本健司氏のGT-8サウンドがバンド感を加え、独特の世界観を作り上げると、ライブ中盤からは、比山貴咏史氏と武藤ありささんのふたりのボーカリストも加わり、新曲のほかに'81に世界的ヒットとなった『DOMINO DANCE』や、松武氏が大阪万博で初めてシンセサウンドに触れたという歴史的な名曲『G線上のアリア(バッハ/ウェンディー・カルロス)』など、新旧織り交ぜた計8曲が演奏されました。
 そして何よりも圧巻だったのは、MCクラブのシンセ講座でもお馴染みの齋藤久師氏が創り出すシンセ・ワールド! SP-404を2台使った即興的なプレイに加え、TB-303やTR-606、MC-202といったビンテージ・アナログ・マシンをなんとDIN SYNCでコントロール。デジタルとアナログをフルに活用した骨太のグルーヴで、まさに"This is The Synthesizer!"と言うべき音空間を演出し、オールド・シンセファンからテクノ・キッズまで、会場を埋め尽くした多くの聴衆を沸かせました。

 
     
 

 V-Drumsを知り尽くした男・村石雅行氏は、ステージ中央にV-Drumsだけをセッティング。ギターやベース、オルガンといったバッキングパートをCDで鳴らし、たったひとりながらもフル・バンドをも超越するかのような"男気"溢れた熱いドラミングで、詰めかけた聴衆を圧倒しました。
 このようなライブでは、"パワフルさ"や"ラウドさ"ばかりが注目されがちですが、ただのロック・ドラミングだけで終わらせないところが、村石氏の真骨頂。大高清美さん作曲の変拍子曲『コモドール・ファンク』では、パワフルかつメロディアスな深みのあるドラミングを披露しつつ、「アコースティック・ドラムだと、こんなに上手く叩けないんだけどね(笑)」と言ったジョークを交えて紹介された、チック・コリアの4ビートの作品『ハンプティ・ダンプティ』では、絶妙のジャズ・ドラム(もちろん、音色もビンテージ感溢れるサウンド!)で、客席を埋め尽くしたドラム通を唸らせました。
 全編に渡り、曲ごとにスネアのピッチを微妙に変えたり、曲中でキックの音色をチェンジするなど、実に細かい音作りが印象的だったステージ。特に、各サウンドの音抜けの良さは驚異的と言えるものでした。このように、V-Drumsの魅力をフルに引き出しつつ、それを充分に活かした演奏を行う村石氏の音楽的感性の高さとそのドラミングの素晴らしさに、終始魅了されっぱなしの40分でした。

 
     
 

 軽快なトークを交えて行われた坂本光久氏(g)と鈴木陽一氏(key)のステージでは、GT-8Fantom-X Audio Track Expansionといった最新モデルがフィーチャーされました。
 「ギタリストは、難しいことはキライ。だけど、GT-8は使い方がとても簡単。それでいて音が最高!(坂本)」とギター・エフェクツ・プロセッサーGT-8の使いやすさを紹介しながら、内蔵されているさまざなまアンプ・モデリングのサウンドを奏でると、会場の多くの人が興味深げに耳を傾けていました。
 また、鈴木氏はニューFantom-Xに追加されたオーディオ・トラックを見事に活用し、ライブでのバッキング・トラックとして使うというアイデアを披露。その一方で、パッドを使ってリアルタイムにリズム・パートをプレイするなど、Fantom-Xがレコーディングからライブ・ステージまで幅広く活躍できる実力を兼ね備えていることに、多くの観客が納得といった様子でした。また、「ディティールにまでこだわった最高品質のサウンド(鈴木)」として紹介されたFantom-X自慢のピアノ・サウンドがプレイされると、ライブ終了後には、客席からそのままFantom-Xの試奏に向かう姿が多く見受けられました。

 
     
 

 そうる透(d)と日野賢二(d)という日本を代表するドラマー&ベーシストによる、一夜限りの夢のユニットがローランド・ブースで実現しました。
 打ち合わせ無しでスタートしたふたりのセッションは、そうる氏が刻むV-Drumsのビートに日野氏がV-Bassで応えるといった展開で、お互いがお互いを刺激し合いながら次第にヒートアップしていきます。その熱いグルーヴをさらに煽るかのようにGR-20Bの攻撃的なサウンドでベースが奏でられると、それに呼応してそうる氏のツーバスが炸裂するなど、その様子はふたりの笑顔とは対照的に、まさに"バトル"と呼ぶに相応しいもので、会場内は重低音の大波が押し寄せる異次元空間へと一気に変貌していきました。
 そんな熱い"バトル"がひと段落すると、今度はソロ・プレイで聴衆を湧かせます。まずは、そうる氏がV-Drumsのユニークな機能をふんだんに取り入れ、タムでコードやメロディーを演奏しながら、スネアとハイハット、キックでビートを刻み、さらにV-Cymbalでカウベルを鳴らすなど、新しい打楽器としてのV-Drumsの可能性を強く印象付けた演奏が行われました。
 一方の日野氏は、V-BassやGR-20Bを使い、エレキベース1本でウッド・ベースの音色を使ったジャズ・ベースから、ギタリストもビックリのディストーション・ギターまで、驚きのプレイを次々と披露。そんなベースに導かれるかのようにそうる氏のドラムが加わると、再びふたりのリズム・セッションに発展していきます。そのまま約10分間に渡り行われた即興プレイはまさに圧巻! 熱のこもったふたりの掛け合いが頂点に達した時、日野氏が『Purple Haze』のボーカルを歌い始めると、会場のボルテージも最高潮となりました。
 「電子楽器ってこんなに楽しいんだ(そうる)」「こんな楽器があれば、ひとりでニヤニヤしながら何時間でも遊んじゃう(日野)」そんなふたりの言葉をここで改めて引用するまでもなく、ふたりの笑顔こそが、音楽の楽しさを満員の聴衆に伝えていたことでしょう。

 
     
 

 アメリカン・ハードロックバンド「Danger Danger」のギタリスト・ロバート・マルセロが、愛用のギターシンセサイザーGR-20と、BOSS最新のギターマルチエフェクターGT-8を使って行ったステージは、まさに"驚愕"と言うべきスーパー・プレイの連続でした。
 まずは、CDでバッキングを鳴らしながらGT-8を使い、挨拶代わりとも言うべき超高速の速弾きを披露すると、のっけから観客は度肝を抜かれた様子でした。次にデバイデッド・ピックアップGK-3を搭載したギターに持ち替え、ギターのニュアンスのままでGR-20のシンセサウンドやスキャットといった多彩なサウンドを奏でます。さらに、ストリングス系のサウンドでルート音をホールドさせ、その上にギターを重ねて演奏するといったGR-20ならではの奏法には、客席から感嘆の声が上がり、会場を埋め尽くした多くのギタリストも興味深くそのプレイを見つめていました。
 続いて行われた、ループステーションRC-20XLを使った演奏では、オケを鳴らさずに完全にギター1本だけで、リアルタイムにフレーズを重ねていく"ひとりセッション"を行い、まさに技巧派と呼ぶにふさわしい変幻自在なプレイで、観客に充分過ぎるほとの強烈なインパクトを与えました。
 当日はメイン・ステージでのライブのほか、デモ・ステージでも同様のパフォーマンスが行われ、会場内を歩く多くの人が、その超絶テクニックに足を止めて、食い入るように、その卓越したギター・プレイを見つめる姿が見受けられました。