千葉県立千葉商業高等学校

吹奏楽「聴き返し練習」のススメ
自らを聴いて知る!~鏡の作用、レコーダーを用いて音を磨く~

吹奏楽部 顧問:鈴掛直子先生

鈴掛先生は吹奏楽の名門「習志野市立習志野高等学校」出身で、日本屈指のバンド指導者 新妻寛先生から指導を受けました。新妻先生は何十年も前からバンド演奏を「録音」して「聴き返し」する練習を続け、大きな成果をあげてきました。鈴掛先生はその教えに習い、最新の「バンド・レコーディング・システム」を導入して指導しています。

千葉商業高等学校の歴史は古く、県で最も伝統のある商業系の専門高校です。8年前に近代的な校舎が完成し、最先端の情報システムを学ぶ環境が整っています。この学校は3年で卒業する定時制を併設しているため、通常5時から始まるところ4時には全ての教室を開放しなければなりません。そのため100名を越える吹奏楽部員は一つの音楽室で練習しなければならない、非常に厳しい環境で活動しています。そこで基礎合奏・合奏練習に重点を置き、全員で練習することに時間を割いています。

サッカーをはじめとする運動部では自分たちの試合をビデオに録画して見直しています。運動部がこのようなことをしているのに、吹奏楽部が「聴き返し」をしないわけにはいきません。部員が増え、新しい練習方法を模索しているときに「バンド・レコーディング・システム」を楽器店から提案されました。

鈴掛先生は昔、カセットテープに自分の声を録音して聴いたとき、非常にショックを受けました。この「自分たちの演奏を、臨場感のある状態で、繰返し聴けるシステム」でその時の衝撃を常に生徒に与え続けたいと考えました。

最新のレコーダーは臨場感ある演奏を簡単に録音することができます。多くの人は録音したものを自分だけで聴きますが、自分たちが演奏したものを、全員でその場で直ぐに聴き返すことができれば、どれほど練習に効果があるでしょう? バンド全体を録音するためマイクは出来るだけ高い位置に立てて、手元に置いたレコーダーで録音します。聴き返す時は立奏している生徒の耳よりも高い位置にスピーカーを立てて再生します。このスピーカーはアンプを内蔵しているステレオ仕様で、一台で中編成バンドと同等の音量を出すことができます。更に左右に設置すれば大編成のバンドと同等の音量と音場を再現することができ、左右に広がる生徒たちも均等に聴き取ることができます。このシステムでキーボードを鳴らせば、合奏しながらでもチューニング音やメトロノーム音がよく聴き取れます。

まず1曲を通して録音したあと、直ぐに全員で聴き返しをします。部分ごとに一時停止をしながら意見を聞き、これを繰返し行なうと生徒同志の相談がはじまります。もちろん言葉による指示も出しますが、直したいところを何回でも聴かせられ、想像よりもひどいことを自覚できることがポイントです。そして自発的に気づきや発見が生まれ、修正することを通じて「聴く力」が養われ、達成感を得ることができるようになります。
合奏練習では、縦(=リズム)と横(=音程)を合わせるだけではなく、倍音や音圧、バランスや音場など立体的な奥行きを聴き返しながら練習を重ねます。CDとSDを相互に使えるレコーダーなので、模範演奏をCDで確認しつつ、SDカードに録音した自分たちの演奏と聴き比べます。また録音した曲は吹奏楽部のホームページにアップして、自宅で聴き返す復習も行っています。

鈴掛先生は高校時代から録音したものを繰返し聴いて訓練してきました。それを鏡に映った自分に例えて、練習とは「化粧をして身だしなみを整え、自分を見直すこと」と教わりました。今はこのシステムを使い、全員の「耳を育てる」という信念を持って指導しています。昔も今も「聴き返し練習」は、上達する近道と言えそうです。

千葉県立千葉商業高等学校で活用されている機材

レコーダー

マイク

多用途アンプ付スピーカー(電池駆動対応)

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