日本 (Japan)
大規模なダンスミュージック・フェスティバル『WOMB ADVENTURE』に初回から2年連続で出演し、VJだけでなく演出も手がけた「UNU」。今回は初の試みでEDIROLのHDミキサーV-440HDを導入し、エレクトロの世界観を見事に表出していました。『WOMB ADVENTURE '09』の舞台裏から深遠なVJ論までを、熱く語っていただきました。3年前のインタビューと併せてお読みください。
■EVENT INDEX■ WOMB ADVENTURE '09 December 5, 2009 Open 21:00 / Close 6:00 Makuhari Messe International Exhibition Halls 10-11
■まず、イベント全体としてのコンセプトを教えてください。 [中市(以下N)] 『WOMB ADVENTURE '09』(以下WA)はエリアが大きく2つに分かれていて、『KITSUNÉ Area』が僕ら、もう1つの『WOMB WORLD WIDE Area』は「NUMAN」が演出担当でした。まず、僕とNUMANで最初に今回のコンセプトである『Future & Nature』のキービジュアルを作り、そこから各種制作に落としこんでいきました。前回もそうでしたが、「WOMBという"クラブ"発信のDJフェスである」という主催者の意向がしっかり伝わるようにするためです。 [杉山(以下S)] WOMBから世界観が提示され、それを形にできる信頼関係のある人達が集まって、形にしていった。WOMB界隈で長年活動してる人たちが一堂に会してポテンシャルを最大限に発揮した、という感じです。 ■各所で映像演出がありましたが、各エリアの担当割り当てはありましたか? [N] 『KITSUNÉ Area』の演出のほか、エントランスに『Future & Nature』を表現した世界を作りました。総括して見てはいましたがKITSUNÉのエリア担当なので、お願いできるところは他の方に適材適所でお任せしました。 ■いつから準備を始めましたか? [N] 8月終わりごろにWOMBからオファーをもらいました。普段から面白そうなものに対する情報収集は欠かさないので、ある意味で心の準備はできていたと言えますね。今はLEDが流行ってるけど、個人的には表現的にも予算的にもプロジェクターが好きです。LEDはパンチ力あるけど大味になりやすいので、ディティールを大切にするために今回はプロジェクターと『PIGI』(ピジー)を併用しています。システムのセットアップも自分たちですべて行いました。 ■『KITSUNÉ Area』の演出はどのように組み立てましたか? [N] KITSUNÉのジャンルはエレクトロ。他のダンスシーンと比べてアートやファッションとのリンクが深くて、個人的に好きです。表現しやすいので。 [S] DJによってガラッと音楽が変わるんですよ。今までWOMBのいろんなイベントでUNUとしてVJしてきましたが、中市くんが作るアートワークも含め、これまでに培ってきた能力がいい感じで役立つんです。『WOMB WORLD WIDE Area』はミニマルでイメージが一貫してるけど『KITSUNÉ Area』にはいろいろな音がある。すべての素材を持ち込んで、かつ演出をある程度決めた上で、それに合わせて3人で役割分担して画を出し続けました。UNUはエレクトロと相性がいいし、自分たちもすごく楽しかった。これまでの集大成的なプレイができたと思います。 [N] 今回のWAには「実験、演出、表現」の3つのポイントがありました。まず「実験」はPIGI。80年代からある機材で、すごく明るいんですけど静止画なんです。静止画で舞台美術を作るという使い方ですね。これがKITSUNÉの音、つまりエレクトロに合うと思って。ロックとかディスコっぽい曲もあるから、時代感がPIGIと同じなんですよね、それが選んだ1番の理由かな。 あと、PIGIは静止画だけどスライドや回転の動きがつけられるので、それを映像として実験的に何かできないかっていう考えもありました。PIGIでマンションを映してその窓にVJで狐を出すとか、パラパラ漫画みたいにうさぎが跳ねたりもできると聞いたので、面白そうだなって。自分たちがやっていて面白いと思えないとお客さんも面白くないと思うから。そうやって、古い機材を今の時代に落とし込む。エレクトロの音楽性、時代感が合っていることでチョイスし、新しい提案としてスキャニメーションといった「動かす」という実験があったんです。 次に「演出」。エレクトロは賑やかで楽しくて、展開が早い。今っぽい曲をかけたかと思ったら昔のディスコの曲かけたりして、パーティ感が強いんです。エレクトロ好きな人はそれが好きなんですよ。 [S] そうそう、いつフロアに入って来ても楽しい。 [N] 上の方にある高揚感がずっと続くってことに対応するためにV-440HDを使ったんです。これが「演出」のポイント。V-440HDは、編集機材のようなスタイルと操作感、そしてPIGIに負けない解像度で選びました。もちろんいつものVJスタイルも必要なので、SDでもシステム組んでミックスしました。 最後に、UNUとしての「表現」ですね。僕らが好きで得意な分野、つまりカラフルな色を使ったりディティールがつまったりした画を、3人のミックスの力、VJ力、現場で編集しているという感覚で混ぜる。すると、それでまた新しいものが生まれる。1個1個の素材を編集、組み合わせることでまた新しい画を作るっていうことがVJかな、と。 ハウスって「1晩のプレイで1曲」っていう考え方があるんですよね。VJである僕らも同じように考えています。1晩の映画を作っているような感覚でやっているし、やっていきたい。それにはディティールを表現できるシステムが必要でした。 [S] ストーリーを作ってるんだよね、イメージで。 [N] DJが作っているストーリーがあると思うんですよ。僕らもそれに展開やストーリーを映像で乗せていかないと、って思うんです。それが、僕が言うところの映画ってことかな。VJとしての演出/表現/実験という3つの要素が全体的な演出に繋がっています。そのビジョンをWOMBにプレゼンして、ぼくらが共有しているエレクトロのイメージをベースにDJブースや照明を相談しながら肉付けしていって、『KITSUNÉ Area』が完成しました。 あとは出演者の要望、たとえば「ジャケットのビジュアルを使って」などはきっちりおさえて、それを僕らなりに表現しやすいように加工して出していった、という感じです。
■システムのポイントは? [S] 背景をPIGIで映すと明るいからくっきり細かく出る。そこへ、V-440HDでイメージを編集して乗せる。V-440HDはV-4とは考え方が違うんですよね。試しに触って、V-440HDはリアルタイムでイメージを編集できるってことに気づいたときに考え方が変わりました。V-4は切り替え、よりVJ的。 [N] V-440HDはHDクオリティーですが、SDのセットも併用しています。僕らはVJなので、P-10やCG-8、2系統のmotion diveで組んだSDセットでフロアのお客さんが上がっているところもしっかり表現する。その上で、演出と編集をV-440HDに集めて出力しました。今回の画角はフロアを見て2:1に決めました。僕らのV-440HDの出力と直列にもう1台のV-440HDが繋がっていて、2:1となるようにマスクで上下を切ってます。素材は画角に合わせる必要があったので、上下切れてもいいように調整してすべて作りおろしました。 V-440HDにはSDセットに加えて、マスク用とVJ用として2台のMacをVGAで繋ぐ。もう1台のMacはインタラクティブな効果用です。たとえば蔦が生えてきたりイコライズしたりという。もう1つの入力がCG-8。CG-8はVGAアウトがあるので高画質に接続できていいですね。それとは別に、PIGI用のPCが1台。ちなみにPIGIの画角も2:1です。PIGIのオペレーションも自分たちでやりました。コンサートと違ってタイミングが大切だから…この写真が物語ってる!「今これじゃない?」「あっそれいいね!」「いいね〜」とか言ってるとこ(笑) [有村(以下A)] で、僕はそれを横で聞きながら「あ、次変わるんだ〜」って(笑) [S] 今改めて聞いて「スゴイな」って思った。機材すべてのことまではあんまり分かってなかったから…全部がV-440HDに入ってる訳でしょ? 「画質」ってことで、選んだ理由ははっきりしてるんだよね。 [N] 理由はいろいろあるんですけど… [S] 最初に気づいたんだよね、「今回は普通のミキサーじゃダメだ」って。 [A] SDがそのまま入って一緒に扱えるって大きいよね。 ■P-10はどのように使いました? [A] P-10は普段のセットにも入ってるよね。 [S] そうですね。僕らはPCをよく使ってるんですけど、PCだけで、例えばMotion Diveでミックスもできるじゃないですか。でもそういう使い方はあんまりしないんですよ。ミキサーがあるからミックスはミキサーでしてて。それはハードの信頼性、レスポンスの良さで選んでるんですけど。で、P-10は押せば画が出る。僕らは現場でピュアにミックスしていくから、単純に映像を出してるって状態なんですね。 [S] P-10にはPCと同じ素材を入れてますけど、速度と色が変えられるじゃないですか。で、同じ映像なんですけど、自分たちの中では「違う映像」として認識していて、使い分けてます。 [N] P-10の好きなところは、黒が締まってる。 [A] いいよね〜、一番綺麗。CG-8より締まってる。 [N] 画質もいい、レスポンスもいい。で、あとは、QuickTimeとかって速い映像に線が入ったりするじゃないですか。それを消すソフトがあるらしいんですけど、P-10は専用機だからそこがちゃんと解決できてて、早いものを正確に出してくれるのは嬉しいですね。 [A] これだけ機材が増えてくるとプレビューがついてるのも嬉しいよね。 [N] 使いやすい。インターフェースもシンプルだし、「押して出る」っていう当たり前の動作だけど、レスポンスを大事にする僕たちとしてはそういうのが致命的だったりするんで、すっかりレギュラー入りしてますね。 [A] あと、ブラック・アウトがあるじゃないですか。V-4にもあるけど、「あっ!」て時に手元で落とせるから移動しなくて済むし、ここで完結できる。極端な話、全部分かってやってたらミキサーいらない。これだけでVJできる。 [S] P-10は2台くらい使ってる人いるよね。うちもあってもいいよね。ミックスしないやつとかさ、これに替えることができるじゃん。 [N] ぜんぜんあっていいよ。P-10/V-4/P-10とかアリだもん。CD持ってくのと同じ感覚でSDカード持ってきゃいいんだもん。1つのスタンダードになっても面白いかなぁと思います。ただ、それがVJの機材が決まってない、始める人から見て分かりにくい原因の1つのポイントになっちゃいますよね。 ■フリースタイルってことですよね。 [N] DJはターンテーブル/ミキサー/ターンテーブルってなるけど。VJも同じようにしてあげればいいと思うんですよ。 [A] 例えば、UNUはP-10を2台とミキサーでやるっていうショーケースはどうだろう。「さあ、これで何ができるでしょう?」って、お客さんの前で。そのイベントは何でやってるかって限定されてるから、何ができるかがお客さんに分かる。 [S] SDカード持って来い、みたいな? [N] VJも機材必要なくなるし。 [S] どんな機材構成でもこれはみんな使ってるもんね。常にいつでも使える状態。持って行きやすいし設置しやすいし、いつもある。 [A] ほんとに誰でも使えるじゃない、見たまんまだから。バンドル系さえ覚えちゃえば。押せばそれが出る! [N] 僕最近考えてたんですけど、映像用のエフェクターってないのかなって。V-4とかにももちろん入ってますけど、飽きちゃうんですよ。DJにはあるじゃないですか。昔はVJ用のもあったけど、なくなっちゃったんですよね。 [A] BOSSのエフェクターみたいなのが欲しい。繋いでいって、組み替えで画が変わる(笑) [N] V-440HDの上にエフェクターつけると使いやすくなると思うし、さっきのP-10/P-10/V-4って図式を作っちゃえば、絶対みんなエフェクター欲しくなると思うんですよ。DJと同じ仕組みを作ってあげるという。 [S] それぐらい誰でも使えるし、分かりやすいですよね、P-10は。 [N] ローランドは一貫して分かりやすさを感じるけどね、俺は。音も映像も。 [A] V-440HDも超分かりやすかった。 [N] 取説をひと通り見てやってみたら、「あ、理にかなってるわ」って。 [A] すごい気持ちイイ機材だった、V-4以上に。セレクトが上下でフェーダーも上下で。あの〜、クセのある機材ってあるじゃないですか、「このエフェクトかけるとこれができない」とか。V-440HDは押せば全部が並列してかかってくれるから。「マスクかけたままワイプかけて、しかもブルーバックで抜いてとかサイズ変えてとかできないだろ…あ、できた! スゲェなこれ!」って。ボタンとつまみの配置も見てすぐに分かるし、迷わない。 [N] 操作してない人でも「今こうなってる」って分かるんですよね、それは究極なんじゃないかな。 [A] 今回良かったのはプリセット。キメの演出の時に「いくよ〜」で一発だったから楽だった。V-4だと、細かいとこで押し忘れとか「あれ、どっちがどっちだっけ?」とかあるんだけど(笑)。普段のVJだと何に使うのか分かんないだろうけど、今回は「間違いないな、これ」って。 [N] 確かに、V-440HDが使われる用途のためにプリセットがあるのがよく分かるよね。演出するって時に必要な機能がちゃんとついてた。 [A] リアルタイム性がありつつ演出のキメ打ちもできちゃう。 ■ドキドキしちゃいました、「いや〜全然使わなかったんだけど〜」って言われるんじゃないかと(笑) [N]&[A] 全然使いましたよ! [S] まずこれじゃないとダメっていう大前提があって、で、触ってみて有村さんがマニュアル読んで「これもできる、これもできる、これもできる!」ってことで演出が更に先に進んだと思う。 [N] そういうのは機材の恩恵だよな。自分たちの表現を叶えてくれて、それ以上のものも表現してくれる。 [S] 一緒に進んで行ってるわけだよね。 [A] 今回SDは1系統だったけど、何本か入れてたらこっちで画作っていじって出すとかできたから、更に上行くんだなと思った。それがこのスペースでできちゃうってスゴイな。 [N] CG-8よりちょっと大きいくらいだもんね。 [A] この機能だとパネルはこのくらいの大きさがないと駄目かもね。
■後ろから見たときに右の方にあったのがVJセットですね。 [N] そう、真ん中がV-440HD、左側が演出用のPC、さらに左がPIGI、一番左端が照明です。システムの配置にもこだわってて、集約されるものは真ん中に置くって意識してるんですね。僕が演出なので真ん中にいて、VJパートとPIGIパートに「次これ行きたいんで」って指示をして。コックピットが真ん中にあるんです。 ■結構頻繁にポジション・チェンジされてましたよね。 [N] それはね、「僕いまVJやりたい!」とかもあるんで(笑) [S] UNUは普段から3人並んでVJやるんですけど、最近はイベント見た瞬間に大体の流れが分かるんですよ、「ここで盛り上げて」「この人はおとなしめで」って。すると誰がどこに入ってもよくて、3者3様でまったく違う演出になる。ブースの中で3人がくるくる回ってて面白いって言われることもあるくらい。でも今回のWAのような時は役割が決まってくるよね。僕は普段VJセットで有村さんと2人でやってることを両手使って1人でやって、中市くんは全体を見ながらいろんなことをして、有村さんもいろいろやりつつCG-8とミキサーをしっかりと。 [N] 2人から「この画出した方がいいんじゃない?」って意見が来るんですけど、「なるほど!」って思うんですよね。普段から3人で感覚を共有してやってるから、みんなが周りを見えるようになってて。 [S] 3人いるから、中市くんが全体を考えてて、有村さんがミキサーやってて、で、僕はお客さんの瞬間があって(笑)。それでローテーションしてるんですよ。それが一番パーティの体感を得られるよね。 [A] うん、トイレに抜けて戻って来ると、そこでお客さんの目線になるじゃないですか。 [N] 全体見てると細かいところを見落としがちなので、実際にやってる2人の意見を拾うようにしてます。その方が絶対にいい。PIGI見てるとVJ見えないんですよ。VJ側から言われて出すのは僕のディレクション・スタイルなのかな、みんなの才能というかセンスをピックアップしてアウトプットしていくというか。 [A] 今回会場が広かったから、前の方がどうなってるのか分からなかった。もし1人でVJ入ってたら、ステージ前の状況はブースからだと見えない。それで、前の方行ってみると予想以上に盛り上がってるから、「もっとガツッって行っちゃっていいんだ」って分かるんです。 [S] ブースは後ろの方にあったから、周囲のノリはおとなしめだったんだよね。肩車してる人いたけど後ろからじゃ全然見えなかった。前に行って初めて気づいたんですよ。 [A] 「もっとガツガツ行っていいよ」「えーっ? でもこのへんはこんな感じだし…」「いや、前の方全然イッてるから!」って。 [N] 2人とも言ってたよね、「もっとアゲたほうがいいよ!」って。そういうのは3人いないとできない。ただ人数がいればいいってことではなくて、普段から一緒にやっていて、自分たちの手法を熟知しているからこそできるスタイルだと思いますね。 ■「前の方はアガってるよ」ってなったとき、実際にはどういったプレイをするんですか? [N] これは僕の考え方だけど、展開の早い映像を出す。速度じゃなくて、あくまで展開。白いのをパチパチやるだけでも展開が早くなるんですよ。音のディティールによって速さのつけかたは変えますね。僕の黒だと、オンオフのイメージで、オフは止まってるんだけどオンは動いてる。 [all except N] ?(一瞬固まる) [S] え、意味分かんない、なに?(笑) [N] で、止まってると止まってるじゃん、動くと動くじゃん。展開してるじゃん! そのギャップ? [S] 差をつけるってこと? [N] うん、その「差」っていうのを展開として… [A] 一番極端な例が黒、白、黒、白? [N] そうそうそう! で、白いときとかは…擬音語で申し訳ないんだけど、「しゅばばばばーん!」みたいな! [all] (爆笑) [A] 分かるけど… [N] そういう音ってあるじゃないですか! そういう感じですっ! [S] これ、文字になると「しゅばばばばーん」って(笑) [A] 「しゅばばば」っていうプレイ(笑) [S] いや、でも分かりやすいと思う。それを言葉にできないから映像でやってるんだよね。 [N] そう! そうなんだよ! おっしゃる通り! [A] 僕は、キックで合わせてたのを細かくとったり、4分でとってたのを8分でとったり。で、最後「ガーッ」て。どこを捉えるかを細かくしていくかな、アゲてアゲて。すると、画としては忙しくなるじゃないですか、「カチャガチャガチャ」って。 [S] しゅばばばばーん、カチャガチャガチャー(笑) [N] 擬音語ばっか(笑) [S] あと「バシッバシッ」って来るやつとか(笑)。あれはライトとの兼ね合いですごく明るくなって良かったり。 [N] 映像として見るときもあれば照明として見るときもあるんですよ。照明効果としてビートに対してバシバシ出すし、画的なもので攻めるのもあるし。KITSUNÉに関しては画的なもので押したのが大きいけど。 [S] 今回は会場が大きいしダイナミックな設置だから、動きがウワーって大きいものを出すと結構映えるんで、そういうのを盛り上がった時に出しました。マンションの画の時には向こうから紫の玉が来るのとか。 [N] 僕は摩天楼が印象的だった。PIGIの摩天楼の画を立体に見えるように組んだら、狙い以上にうまく行って。摩天楼がDJブースぐらいまでしかなくて、そこから上をVJで出してた時に杉山くんが出してきたイメージがものすごいインパクトで。映像は普段僕が作るんですけど、僕が作り手として「こういうイメージで」って考えるのは当たり前なんですけど、それを超えてくるんですね。2人は特にそれがすごくて、本当に面白い。同じ画なのに、自分では思いつかない解釈をしてるんです。僕が想像しなかった組み合わせとか音楽に対してのイメージとか。 もちろん音楽に対しては常々考えてるんで、相乗効果ですよね。映像だけ見てても音がないと物足りないし。昔はクラブって音楽だけで成立してたけど、今はVJがあるとぜんぜん違うプラスのビジョンが出せるというか、もっと良く見せられると思ってやってるわけで。そのもっと良く見せるイメージが3人とも違うんですね。ベクトルが違うこともあるし、同じベクトルでもさらに上を行ってることもあるし。 [S] つまり「ここで出してくるか!」みたいな? 自分でもフロアが盛り上がるところを想像して作って るけど、それと違うところで使われたりとかするってこと? [N] そう、「こういう使い方するんだ! 合ってるわ、なるほど〜」って。 ■今回、DJさんとの打ち合わせはありましたか? [N] 僕らが提案するイメージをWOMBがアーティストに提出して、それに対してレスポンスがあれば対応するという形でしたが、今回提案がほぼそのまま通りました。本当はもっとコミュニケーションをとらないといけないし、セットリストをもらったりした方がいいんですけど、まだそれには至ってないですね。DJって完パケたものをとても嫌うので(笑) [S] ガチンコ勝負だったってこと?(笑) [N] そうそう。で、やっぱり見てるみたいで、BENIの時は彼の顔の画をPIGIで出したりしてたんですけど、「もっと出して」とか人を通して言ってくるんですよ。KITSUNÉも「狐のビジュアルもっと出して」とか。「もっと明るくして」とか「照明出して」とか、その場で要望が来ます。「それは分かってるんだけどちょっと待って、今溜めてんだよ!」って時もあります(笑)。でも、基本的には次の瞬間には出す。そういうやりとりはありますね。 ■VJとして考えてるストーリーがあるなかで、音を聴いてて「よしよし」って時もあれば「あ〜こう来たか〜」って時もあると思うんですけど、それはリアルタイムで変えていくってことですよね。 [N] VJやライティングってある程度俯瞰して見てないといけないので、「盛り上がってないぞ」って分かるんですよね。そうすると音楽とは違う画を出したりして、サポートするっていうか。音と合わせない方がいいとか、もう画を切っちゃうとかね。光だけにして踊るフロアにしてあげようって。こっちが引いたり、逆にライトに引いてもらったり、即興でやりとりしながらやってます。
■UNUさんはチームを組んで何年目ですか? [N] UNU自体は98年から…僕が主宰でやってますけど、今の3人で7年目です。 [A] 僕が入ったのが最後だもんね。 [N] 7年も経つと定着ってことなのかな。UNU自体は12年か。 [S] 有村さんもそうだけど、もともと知り合いで遊んだりしてて、それで「能力を生かせるんだったら」ってことで一緒に始めたんです。 ■VJ始めたばかりの人に、UNUさんの現在に至るステップが分かるといいなあと。 [A] 僕が思ったのは「客観視」かなあ。「作った、出したい」ってファッションでVJを始めるんだけど、それが場に合ってるかどうかが大事。それから空気を読んでいく。 [N] そういう意味では、まず僕がその「作った、出したい」って衝動で始めたんですね。で、やってるうちにVJとしての上の表現を求めるというか、VJっていう表現ってなんだろうって思うわけです。 そういう時に杉山くんが入ってきて。彼は客観的に捉えることができる人だから、「こういうことなんじゃない?」ってプレイに反映してくれるんですね。客観視するっていう表現。音に対して映像をどうはめるか、つまりお客さん目線ってことなんだよね。敢えて映像を入れなかったりとか、具体的な画にしないで丸だけで展開していくとか。具体的だとイメージがつきすぎちゃうのでそれを嫌う人もいる。狙ってやれるならいいんだけど、狙ってないと良くならない。狙った上で、イメージをつけない画を出す、イメージをつける画を出す、っていうのを客観視してやってくれたのが杉山くん。僕にはなかったセンスだったんですよ。それでしばらく2人でやってて。 [S] メリハリが必要だったんですよね。昔VJソフトが出た当時は作りものをできる人がワーッと出てきて、自分の作った映像を延々流してるだけっていう現場を結構見たんです。僕は作り手ではなく客だったので、彼らのグラフィック作品を見に行っていた訳ではないから。もうちょっと表現として先に進められるんじゃないかって思ってたんです。 [N] でもVJに否定的って訳ではなかったんですよ。 [S] それがどこかで合致するところを探しながら盛り上げに徹して、ある時にバーンと自分、映像、フロアの合う瞬間を探してたっていうか。最初はそういう衝動で始めて、セッションをしていくと、いい感じにフロアが変わってくるんです。 あと、何より変わるのが現場の人。DJ、ライティング、スタッフ、オーガナイザーが「ちゃんと音を聞いてVJやってくれてるんだな」と分かってくれて、それから第2段階に行ったんだよね。それで、有村さんは音に詳しくて音の解釈ができる、そういう意味で感覚が合う。それを生かしてきて、今は全体がどう良くなるかって考えて映像を出してます。 [N] 全体が良くなれば、言い方悪いけど、何でも良くなっちゃう。みんなが受け入れてくれる状態をいかに早い段階で作れるか。それさえできればあとは自分たちのペースになれちゃう。 ■その「つかみ」は具体的にどうやって得るんですか? [N] クラブで言えば音楽のイメージですよね。フロアの気持ちをつかむってことです。お客さんの一番の目的は音楽なので、まずDJに添うことができるかどうか。それがあってのライティングだしVJなんですよ。DJがつかみきれなかったらずっとつかみきれないまま終わるパーティもあるし。 音楽に合わせたイメージを出していると、音楽が良くなればイメージも良くなるんですね。するとお客さんも盛り上がるし、気持ち良くなる瞬間がある。それが見えると、つかんだ状態。それは経験で見えてくるんですよね。あとは僕らの表現ができるようになるんです。それを一晩のうちいかに早くつかめるか。 [S] 先に「このパーティはこんな感じ」「今日はお客さんはこんな気持ちで来るんじゃないか」「このDJは初来日」っていうだいたいの世界観があるから、それは事前に共有するんですね。それは言葉じゃなかったり「こんな感じだよね」といったテンションだったりするんですけど。 [N] 具体的に言うと、例えば初来日のアーティストが来るときは、レーベルのロゴやPVを用意する。それでDJが喜ぶ、お客さんも「あ、これ知ってる!」って喜ぶ、すると照明も「おっ」って喜ぶ、みんな同じ気持ちになる、それがつかむっていうことの1つの答えですね、もちろんそれだけじゃないけど。 作り手は自分のイメージを作りたいから、「ロゴなんか使いたくない」とか「DJの名前出したくない」とかいう気持ちがあると思うんだけど、その先にあるもの、つかんだ後にもっともっと自分の画を出せる場があるのにそれをやらないで、自分の良いビジョンを出せない状況を作ってしまうのはもったいないと思う。 極端な話、ロゴ一発で盛り上がったりするんですよ、「登場!」って感じで。例えばJUSTICEのクロスなんかはもう絶対に盛り上がるんですよ。それは媚びてるわけでなく、お客さんの目線に立って出してるんだけど、最終的な自分たちの表現に実は繋がっている。音楽に合わせなきゃいけないのは大前提なんですけどね。それを狙って、みんなが喜ぶものをちゃんと用意する。それがディレクションだし、VJにしかできないことだと思うんです。 [S] そう考えるようになったのは、WOMBで毎月開催されているEMMAさんの『TROUBLE☆HOUSE』に関わってからですね。このパーティにはもともとVJが入ってなかったんですよ。照明とDJで既にコンビネーションできているところで僕らができることは、曲に合わせて素材を作るとか、発売されているものがあったらそのロゴを使うとか。 遠くに石を投げるって意味で効果的な演出をして、かつ、周辺は音に合ってて盛り上がった時に「この曲はこれ」ってイメージを出す。何年もやってきた経験と、技術が現場でミックスされてそういうスタイルになっていったんです。
[N] TROUBLE☆HOUSEが今年(2010年)で7年目なんです。このメンバーになったときに始めたんですね。僕らすごくEMMAさん好きなんですけど、EMMAさんはあんまりVJを入れるタイプじゃなかったので、最初ライティングのAIBAさんから話をもらった時に「自分たちに何ができるんだろう」ってすごく考えました。むしろ受け入れられづらい環境だったんですけど、AIBAさんが「お前らならできる!」って言ってくれた。 それは、AIBAさんと僕らの間ですでにコミュニケーションがあったからなんですよね。AIBAさんとは、レーザーでグラフィック出して、そこに映像で同じものを乗せてみるといった実験をしたりしていて、お互いの考え方を既に共有していたんです。だからチーム感みたいな感覚があって。それで新しい表現ができるとAIBAさんが判断してくれたんですね。 EMMAさんと話していくうちに、VJが嫌いなわけじゃないのが分かったんですよ。ただ過去に、音と合ってない映像を出されたり、せっかくフロアを作ったのに明るくされちゃったりってことが何度もあったらしいんです。それは仕方がないですよね、VJの責任だったんですよ。なので、僕らは考えて作っているってことを理解してもらって。 [S] 最初はAIBAさんがEMMAさんとの間に入ってくれました。EMMAさんと長く付き合ってきてて、ハウスにも造詣が深い。現場でのやり方を咀嚼して教えてくれたのはAIBAさんです。ここでガッと上げる、下げる、するとフロアが上がって、それをスタッフも見てるからって。そうやって突き詰めていくと全体の空間演出をどうするかって考え方にたどり着いた。それはWAでもそうでしたね、WAのライティングはSAITOさんだったけど。 [N] 新しい取り組みとしては、EMMAさんがDVJを使ったり、自分のレーベルを持ってるからその曲に対して映像を作ったり、Audio Visualセットを組んだり。すごく印象的なのが、お客さんが曲によって「あ、この曲!」って映像を見るんですね。TROUBLE☆HOUSEの時はDJブースの反対側に映像を出すので、お客さんが後ろ向いちゃうんです。これはビッグ・インパクトでしたね。お客さんがしっかり映像を見る瞬間があるっていうのを体験したら、味しめちゃった。やってきて良かったな、っていう1つの結果でしたね。 [S] そういう反応をするのは何度も来てるお客さんなんですけど、それにつられて、初めて来た外国からのお客さんも「なんだ?」って見てうわっとアガるんですね。それで一体感が生まれる。朝方にそのまま1つにまとまって盛り上がってるのを見るのは、VJやってて嬉しい瞬間です。 [N] EMMAさんとAIBAさんと僕らでコミュニケーションがあったからできたんですよね。EMMAさんもそれを意識して音をかけるようになったんです。映像を見せるって考え方、DJとしては新しいですよね。 [S] DVD入れるときはこっち見るもんね(笑)。で、ブースではみんなそれに備える。 [N] AIBAさんが照明を抑えてくれたり、画を立たせるために真っ暗にしたり、同じブースでみんな並んでるので、声掛け合ってやってます。結局、やっぱり人なんですよ。人の繋がりとか人の気持ちとか。何でもそうだと思うんですよ。普通に仕事している人も同僚とか上司とかクライアントとか、イコール社会じゃないですか。ごく当たり前なんだけど、人とのコミュニケーションが何でも大事なんですよね、それがあっての表現。表現する人は一般の人以上にコミュニケーション能力が必要だと思う。それに尽きると言ってもいい。 だから、TROUBLE☆HOUSEは理想のスタイルです。こういうのがもっと増えるといいな。AIBAさんも最近地方のクラブに行ってプログラミングしたりオペレーションしたりして、若い子たちに伝えてるんですよね。「こうすればこんなパーティができるんだよ」と。まさに伝道師。 ■新しいクラブのブースの作りって変わってきました? 昔は「どこでVJしたらいいんだ!」みたいな状況でしたが。 [N] 今は全然違うんじゃないかなぁ、DJとVJを横並びにするとか。京都のWORLDもそうですよね。海外も年2〜3回行くんですけど、DJと同じように見せてくれますね。 [A] そうやって扱いが変わってきてるから、次に新しいクラブができたら、それを考えた上での造りになるかもね。機材がある程度入っていて、プロジェクターの位置も考えてとか。 [N] 映像は入らないわけないからね。 [A] VJはチームによって使う機材が違うから、難しいのかもしれないね。DJだとある程度ターンテーブルとCDJと、ってなるけど。 [N] ここ5年でVJのハードウェアはかなり充実したから、今は少し違うかもしれないよ。P-10/V-4/P-10とか。 [S] 設計とかは分からないけど、クラブの対応がもう昔と違うよね。声のかかり方が全然違う。必要なところにはVJは本当に必要だからって。昔はただ単に余計な仕事が増える相手としか見られてなかったけど、効果を分かってる人たちからしたら絶対に必要だから。 [A] V-4が入ってるところはちょこちょこ見ますね。DVDが繋がってたりするけど。 [N] そうだね、カフェバー的なところとかね。 [S] 始めた時はそんなのイメージしてなかったでしょ。ビデオデッキ持ってかなきゃいけないし、邪魔にならないようにどこでやろう、みたいな(笑) [N] 特にうちは機材多いしね。WAの時は左端がライティングのSAITOさんだけど、それ以外は全部うちのだし。 [S] ライトとのコミュニケーションで如何様にでもなるっていうのはUNUが一番気にしてるところかもしれないですね。 [N] WOMBのライティングの人は僕たちがそう考えているのを分かってくれてるんです。普通は、VJがいきなり照明さんに「こうしたいです」って言っても「は? なに?」ってなっちゃう。それを、コミュニケーションして考え方を伝えることで一体化していくというか。 [S] みんなそれを言わないとか、言える場所にいないのかもしれないけど、しっかり打ち合わせすればパーティが全然変わりますから。積極的にやったほうがいいと思う。 [N] ライティングやDJと話してると、VJの評価が上がると思うよ、同じ画を出したとしてもね。話し方にもよるけど。感覚で生きてる人たちなので感覚で話してることが多いんですけど、感覚同士なんで話は意外と合ってるんですよね。それがうまく伝えにくいポイントではあるんですけど…。 DVD作るのも、クラブでかかる曲は1曲8分とか10分とか長いから大変なんですけど、コミュニケーションをとってその映像を作る。僕たちはそれをやってきて、その結果がWAなんですよ。 [A] DVDはDJが確認できるからいいよね。プレイ中は基本的に見れないじゃない。 [S] WAみたいなイベントは日本ならではかもしれないよね。日本ってお金がないと大規模なイベントができない。ちゃんとスポンサーつけて、メーカーさんとかとも話をして、経済効果があって、かつ演出ですごい有名に成り得るし…ある種日本人的なのかもしれないけど、それがとてもいい方向に行ってると思います。
■VJは、音楽やファッションなどに比べて理論が確立されてないと思うんです。それがVJの面白さであるのかもしれないけど、若い人の取っ掛かりの悪さにも繋がっているのかなって思うんですけど。 [A] VJは技術の進歩と密接に関わってるじゃないですか、そのせいじゃないかな、形が見えづらいのは。前はビデオでやってたのにDVDになり、PCになりって。変わらないのは演出って部分だと思うけど、そこに至るのは後の方だから。 ■例えばアニメーションだとアニメーション学科があって、何かしら教えてますよね。 [N] ちょっと前ありましたよ、VJ学科。それこそ7〜8年前。 [S] 「しゅばばば〜」とか教えられてたの?(笑) [N] でも理論って確かに大事だな。 [A] 割り切って教えるのはアリかもね、「機材ひと通り使えるようになりなさい」って。表現じゃなくて、技術として。 [N] Photoshop学ぶような感覚ってことだよね? [A] うん、理論と実践、みたいな。「理論は教える。この先の表現は自分で考えろ」って。 [N] そうだよな〜、理論なぁ〜。全部に理論はあるんだけどな〜。 [S] 独自の理論になってるから、それをどうやってみんなに伝えるかってことでしょ。 [A] 映画もそうだよね、映画術ってあるようで実はないじゃないですか。監督によって違う。トリュフォーはこう撮ってる、ゴダールはこう撮ってる。「暗すぎるところじゃ撮れない」とかっていうのは技術の話になってくるから、ちょっとVJに近いかな。UNUのVJ論が好き、GLAMOOVEのVJ論が好きっていうような。 ■茶道とか華道とかに近いものが。何とか流って(笑) [N] 実際そういう流れはあるみたいですよ。 [A] コアの部分は演出だったり気分だったり空気感だったりするんだけど、そこじゃないところをあえて語らないと難しいのかもしれない。「ここに黄色い線があるよね、これをビデオに繋ぐでしょ」って(笑) [S] じゃあ、今VJやるとしたらどこから入ればいい? [A] …って聞かれると、僕も「いや、テレビのチャンネル変えるのもVJだよ」とか言っちゃうんだけど、それを言わないで、プロジェクターは光でとか、ビデオのケーブルがどうとか、そういう面倒くさいところを敢えてやっていくことなのかもしれない。 学校だとすると、1年間嫌でもその時VJのこと考えるじゃない、「くだらねー、VJはこんなことじゃねーよ」って。じゃあ「こんなことじゃないって何?」って、少なくとも授業中は考えるでしょ。そういう時間を作ってあげるってのが必要かなと。 [N] でも理論がいっぱいあって、すべてが集約されて1つの表現になってるから「あれもこれも」ってなっちゃうんだよね。 [A] 「電源はここ」って(笑) [N] 電源の位置を確保するとか、ブースの位置とか、机の高さとかね(笑) [A] 分かってる人から見ると入門書って何でもそういう感じじゃない? 「そこは説明いらないだろ!」って。でも、そこを敢えてやることで、それについて考える時間が作られるじゃない。 ■「時には8時間に及ぶプレイが必要とされるので、姿勢が大事です」とか書いてあって、それを真に受けた若い子たちが「ちょっとこれ、机の高さが違いますよ!」とかスタッフに文句言っちゃったりして(笑) [N] でも、机の高さは大事。 [S] 「あっこれだ!」って思ったときにすぐ操作できなきゃいけないからね。やっぱりそういう基本的なことは大事。 [N] 何でもそうだよ、職人の世界だってそうじゃん! 何十年かけて理論を作るんじゃん! こちとら何十年かけてVJやってんだよ! みたいな。 [A] 誰に言ってんのそれ(笑) [N] あ、ごめん(笑)。だって、急に「どうやったらVJ上手くなれますか」って聞かれてもな〜って感じじゃん! 「じゃあミックス5万回!」とか言ってみたいよね(笑)。「スイッチングを100万回打て!」って。 [A] それで「できました!」って言われても意味ないんだけどね(笑) ■いやいや、そんなのできる子いたら、「じゃあ2フレと5フレ出してくれる?」って言ったら、パパッて(笑)。「すみません、インターレースずれちゃいました」とか(笑) [A] 「今ひとコマ落ちました」とか。見えるようになっちゃう(笑) [N] そしたら、次のステップアップはVJ以外のことだよね。VJから一旦離れることだよ。機材とか映像を作るとか、人のこと。 [A] それは何でもそうじゃない? [S] さっきから同じこと言ってるよね(笑) [A] 楽器もそうじゃない。「誰に聴かせたいの? 答えは音楽以外のところにあった!」って。 [S] じゃあ、まず何やればいいの? [N] あいさつだね! [all] (爆笑) [A] うん、でも、そうだね。 [N] 一晩一緒にやる人に対して敬意を表して「今日はよろしくお願いします。僕はVJのだれだれです」と。ライティングやオーガナイザーやDJにあいさつする。それだけで全然印象変わるから。世代が近ければ近いほど感覚が近いから、気が合えば「次ここでやらない?」「また僕がDJやるときもお願いね」とかなるじゃない。で、次の現場でまた「VJのだれだれです!」って言うと「あ、聞いてるよ、DJのだれだれとやってんだろ?」って。 [S] 自分の物語を…(笑) [N] でもホントにそうだもん。 [A] それが場数を踏むことに繋がるしね。 [N] 場数を踏めば機転が利くようになるし、その場の対応もパパッとできるようになる。でも、最初はあいさつ!…どうしてもこういう話になっちゃうんだな〜。 [S] しょうがないよ。そういう人だから(笑)
■ここまでステップアップされてる皆さんですが、次の目標を教えてください。 [N] それ前回のCG-8の時にも聞かれてたな〜。俺「出雲大社に行きたい」とか言ってたわ!(笑) [S] 俺「キャンプ場やりたい」って言ってた(笑) [A] 俺ロックスター(笑) [N] ちなみにそれなれた? 俺出雲大社行けてない! [S] 中市くん「映画撮りたい」って言ってなかった? [A] そうそう、それで「フェスやりゃいいんだよ!」ってなって。 [S] キャンプ場でライブして映画撮ろうって。で、今回フェス(WA)やったじゃん! [N] あ、ほんとだ、やった! 叶っちゃった! [S] キャンプ場ばりの広いところでフェスやって、有村さんロックスターっぽかったから(笑)。で、その先に。こないだは3人バラバラだったけど、WAは3人の能力の集大成だったよね。中市くんの技術とかPIGIの考え方とか… [N] 僕が1つ上の「演出」っていうビジョンを見るようになったので。VJは2人に任せられる状態だし、安心して上に行ける。演出を考えた関わり方っていうのかな? [S] VJの存在意義自体がこういう大規模なパーティでは変わってくるから、演出の考え方にVJをどう合わせるかっていう方向に進めていきたい。 [A] 今回特にUNUの中での役割がはっきりしてたよね。 [N] こういうショーケースみたいなのをまとめて、っていう…例えばシンガポールのZouk Clubでもそういう風に求められるんですよ。海外でもWAみたいにできるといいし、もちろん海外でVJもどんどんやっていきたいですね。あとは個人ベースの目標かな? ■映像に音をつける、っていうアプローチも見てみたいですけど。 [N] それで実際にやってみようと思ってるのは、映画館。クラブは音楽を聴きに行くところだから、劇場じゃないと。クラブでもやることはできるけど、やったところでマイナスからのスタートになるので。 [A] もう、観に来る人の意識が違うからね。 [N] それを頑張ってプラマイゼロに持ってくなら、映画館で座って画を観てもらって、ってしないと。 ■ある意味、映画ってそうですよね、画の方が先にできてますもんね。 [N] 映画よりはもう少し具体的すぎず抽象的すぎず、ってしたいんですけど。映画だって言っちゃえば成立しちゃうのかもしれないけど。つまり、僕らは場所の限定をしてないってことです。クラブやフェスじゃなくてもいい。ある画に対して音をつけていくっていうだけじゃなくて。 例えば、リカルド・ヴィラロボスのドキュメンタリー映画が作られて、映画祭に出品されてるんですよ。クラブシーンを記録しようっていう意識があるんですよね、クラブシーン以外でも。そういったドキュメンタリーを上映して、横でショーケースをやっちゃうってのもアリだと思う。 あと、知り合いのアパレル関連の人がドキュメンタリー撮ってたりするので、「映画館でやっちゃえば?」って言ってるんです。ドキュメンタリーを観てるんだけどそれがファッションショーでもあるとか、そういう演出に興味あります。…杉山くんたち何かやらなかったっけ? 画に対して音つけるっていうの。 [S] メンバー個別の活動はいろいろしてるんですけど、バンドもやってまして。友達のパーティで「VJするのはちょっとな」って時があったんで、家で感覚に任せて作った映像を持ち込んで、それに合わせて即興で演奏するっていうのはやったことあります。 [N] これはVJ的発想だよね! ■それは観てみたいですね〜。 [N] 今聞いてて「すごいカッコいいことやってんな!」って思った。 [A] 音はね…カオスだけどね…(笑) [S] でもコンセプトが良いから、たぶん行けると思う。その時は中市くん楽器に持ち替えて。 [N] あ〜、俺やったことないよ! [A] 大丈夫、俺その時バイオリン弾いてたから(笑) [N] ばっ、バイオリン!(笑) [S] フリーマーケットでおもちゃの電子バイオリン買ってきて。同じくフリーマーケットで買ってきたSP-808を押し入れから出してきて… [A] RE-201とSH-101とおもちゃのバイオリンとマイクと… [S] あとTB-303(笑) [A] とりあえず全部繋いで、「ビデオスタート!」って。 [N] それ盛り上がるわ。画によって音が変わるんでしょ? [S] だから、UNUの今後は…バンドやるかもしれないし、映画館でやるかもしれないし… ■それくらい主役になってもいいかなって思いましたね。 [N] なりたいよね、なれると思うよ。近しいVJの若い子たちは「WAやりたい」って言ってくれるし、1つの指針は作ってるのかなって思うけど。 ■最後に、WAの次のビジョンがもしあれば教えてください。来年はこんなことやりたいとか。 [N] えっ、俺言っていい? WOMBさんは関係なくてあくまで僕のビジョンとしてね。美術をやりたい!…もうVJじゃなくなってるんだよね(笑) [A] 実家が建具屋だからね(笑) [S] こないだちょっと話したんだよね。舞台設置から全体の演出、そこに映像も入るんですけど。全体を演出したいって。 [N] そうそう、舞台セットを組みたい。 [S] 今回もここに幕を張りたいとか、いろいろお願いしたよね。 [N] 実現しなかったプランもあるんですけどね。 [S] つまり、もっと映像演出の可能性を広げられる環境を自分たちで作り出すってことからやりたい。 [N] ただの丸でもコンセプトがあるかないかだけで全然違うので。 ■本日はどうもありがとうございました!