川村さんは現在オーディオビジュアルの分野で具体的にどのような活動をしていますか?
   

9月18日に代官山airで行われた「IN:FLAME」というイベントではDJ SODEYAMAとLIVE形式でAudioVisualセッションを行いました。
具体的には3面のスクリーンを使い、フロアを囲むような形で空間演出を行いました。通常のLIVEと大きく異なる点はDJが映像を送出する点です。
ボクたちM.M.Mは、近日EDIROL by Roland & digitalstageから発売されるmotion dive .tokyo console editionの開発にも携わっており、イベント当日はそのmotion dive .tokyo console editionの新機能であるMIDI Note PLUG-INを使用しました。これはMIDI信号を受け取って映像を生成するPLUG-INで、言い換えればビジュアルのシンセサイザーです。DJが即興で奏でるキーボードのMIDI信号を受け取り、ボクたちVJが加工、味付けを行う。AudioVisualには様々な表現方法がありますが、これは一つの到達点だと感じています。音と映像を完全にリンクして演出できる点はこれから注目していきたいと考えています。

 
 

現在使用しているオーディオビジュアル関連の愛用機器を教えてください。また、自分だけのオリジナルな使い方や工夫などがあったら教えてください。

   

MIDIキーボードや汎用MIDIコントローラーなど、MIDI信号、V-LINK対応の機材を愛用しています。
8月27日に行われた日本最大級の野外テクノパーティー「METAMORPHOSE 05」ではAppleコンピュータのデベロッパーツールであるQuartz Composerでオリジナルのビジュアルシンセサイザーを制作し、MIDI機材とつなげ映像パフォーマンスを行いました。MIDI機材を使用する事によって、今まで以上にフィジカルなパフォーマンスを行う事ができました。
これからは音、映像に留まらず、照明やレーザーをも含めたトータルのAudioVisualパフォーマンスを模索できればと考えています。

 
 

今までにチャレンジしてきたオーディオビジュアル関連(イベントで取り組んだ新しい試みなど)のことの中で、面白かったこと、苦労したこと(とほほの話)などあったら聞かせてください。

   

苦労した点と言えば、音との完全融合を考えた時、どうしても陥ってしまう事がテクノロジーが先行してしまうという事です。
今まで、音の強さに反応して映像が変化するプログラムを作ったり、LIVEを行う演奏者の鍵盤に反応するプログラムを作ったり、様々な試みをして来ましたが、ふと感じた事が「自分が必要ない」事です。
つまり、コンピューターやその他の機材、テクノロジーに自分自身が取り残されている。パフォーマンスに血を通わす事が出来ていないと感じたのです。
パフォーマンスをする以上、そこには必ずパフォーマーが存在していて、手や感情から生み出される、その時にしか表現できない空気みたいなものがあります。その空気こそパフォーマンスする上で一番の醍醐味だし、重要な部分だと考えています。
音との融合は、テクノロジーの面は、基盤整備が整いつつあります。あとはアーティストの血をどうやってテクノロジーと融合させていくかがこれからの課題だし、楽しみな所です。

 
 

川村さんの目には現在のオーディオビジュアルシーンはどのように映っているのでしょうか?

   

AudioVisualシーンは日本ではまだ始まったばかりのシーンだと感じています。
パフォーマンスのやり方はアーティストそれぞれで異なるし、機材も多種多用で、スタンダードという物はまだありません。アーティストも含めシーンとしてはまだ模索状態にあります。たとえば映像業界でいえば、HDという規格が最近ブームになっています。HDに対応したビデオカメラはもちろん、編集するための機材やアプリケーション。HDを送出するためのTVやプロジェクターなどもここ最近様々なメーカーから発売されています。日本は機材やテクノロジーが整う事でシーンは体系化され、確立される事が多いので、これからAudioVisualを行うためのアプリケーションや機材が増えて行けばシーンとしては次のステップに進んで行くと考えています。

 
 

川村さんは今後、オーディオビジュアルの世界はどのような展開を見せるとお考えでしょうか?

   

パフォーマンスに名前が付き、スタンダードなスタイルが確立されていくと考えています。音楽の業界で言えば「POPS」「テクノ」「ロック」などのように、名前が付く事によって、ジャンルが生まれ、ジャンルごとにスターが存在します。オーディエンスは「好き/嫌い」の判断を行う事ができ、お気に入りのアーティストを見つけ出す事も容易になります。またシーンが解りやすくなれば、音楽から入ってくるアーティストも増えるでしょう。AudioVisualを専門に扱った雑誌やメディアが生まれるかもしれません。

 
 

川村さんにとってオーディオビジュアルとは何ですか?

   

ボクたちにとってAudioVisualは普段のデザインワークに対する「かけ算」だと考えています。
AudioVisual独特の演出や手法を想像したり創りだす事は、普段のVJやデザインワークにも応用する事ができ、更に表現の幅を広げるキッカケになります。
今まで以上に音をよく「視る」という事は、映像アーティストとしてのアンテナ感度を良くする事だと考えています。
今ではボクたちにとってAudioVisualは切っても切れない関係になっています。

 
 

オーディオビジュアルを一言で定義するとどうなりますか?そしてその理由をお聞かせください。

   

音、映像、人の融合。
オーディオビジュアルという言葉の通り、音と映像の融合は容易に想像できます。ただし、そこに人の体温や感情が加わってこそシーンとして確立できると考えています。

 
 

これからオーディオビジュアルを始めたいと思っている方にアドバイスをお願いします。

   

まずは体験してみることをオススメします。機材に触れてみる事もいいし、アーティストのLIVEに参加するのも構いません。行動を起こせば興味がわきます。
興味さえわけば情報の吸収も早く、今まで取りこぼしていた事についても気がつける事が多くなります。シーン自体始まったばかりなので王道やスタンダードといったものはまだ存在していません。お気に入りのアーティストやイベントを見つける事がAudioVisualを始める一番の近道だと考えています。
ボクたちはGlobalAudioVisual Japanというサイトを運営しています。もしこのサイトがお気に入りを見つけるヒントになれば幸いだと考えています。

http://www.audiovisual.jp/

 

カワムラ ヒロシ 川村 有
VJチームM.M.M主幹

プロフィール

99年よりVJ活動を始める。VJ GLAMOOVE、Graphickers、プリンストンガらと共にSUPER LOVERS NITEへの参加を皮切りに、その他数多くのイベントに意欲的に参加。そのスタイルは音、ライティング、映像すべてをひとつの空間へ作り上げる事に重点を置き、HOUSE/TECHNOなどのダンスミュージッククラブシーンの一つのあり方を提示している。自らが所属するgeneral-effect主催のイベントや小箱からフェスティバルまで多数のイベントにおいて真価を発揮し、他方面からの高い評価を獲得している。また、クラブイベントのみならず様々なウェブサイトやDVD、ソフト開発なども積極的に行っており、数多くの映像作品やデザインを発表している。近年ではファットボーイ・スリムやケミカルブラザーズ、マッシブアタックのイベントなどにも参加し、その活動をワールドワイドに展開。そして今年2005年8月には GALAXY 2 GALAXY、GREEN VELVET、TORTOISE、GOLDIE、FUMIYA TANAKA といったアーティスト達が集結する日本最大級のエレクトロニックダンスミュージックフェスティバル「METAMORPHOSE」に出演。最先端の機材をいち早く取り入れ、実験的映像を常に提供し続けている。
 さらに本年活動の範囲を広げるべく、VJを中心とした、ポータルサイト「AUDIO VISUAL.JAPAN」を VJ Shinji Murakoshiらと立ち上げ展開している。そのほか、ミュージックシーンと密接にリンクしたアパレルブランド"issuesix6"をオーガナイザー、プロモーターらと立ち上げ、活動の幅を無限に広げている。

 
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