リクルートに15年勤務した後、2004年に有限会社フラクタル・デザインを設立。リクルート在籍時代からMIDI、オーディオ、レコーディング関連の記事を中心に執筆している。
以前にはシーケンスソフトの開発やMIDIインターフェイス、パソコン用音源の開発に携わったこともあるため、現在でも、システム周りの知識は深い。最近の著書に「ザ・ベスト・リファレンスブック Cubase SX/SL 2.X」(リットーミュージック)、「音楽・映像デジタル化Professionalテクニック 」(インプレス)、「サウン ド圧縮テクニカルガイド 」(BNN新社)などがある。また、All About JapanのDTM・デジタルレコーディング担当ガイドも勤めている。
 
       
 

楽器フェアで初お披露目となったUSBオーディオ・インターフェースのUA-4FX。発売前の試作品をお借りして、いろいろと使ってみた。UA-3FXの後継機とのことではあるが、UA-3FXとはだいぶ異なる顔も持っておりなかなか面白い製品だった。実際どんな使い方があるのか、どう便利なのかなどを紹介しよう。

 楽器フェアの会場で、最初にUA-4FXという名前を聞いて、おやっと思った。明らかにUA-3FXの後継機であることは分かるが、4という数字が新しいな、と。そう、これまでEDIROLのUSBオーディオ・インターフェースはいろいろ見てきたが、UA-30、UA-3、UA-3DそしてUA-3FXと進化してきたのに、今度は3ではなくて4なのか、と。

 また、デザイン的にもちょっと違う。これまでは2つのフェーダーと大きく丸いボリュームだったのが、UA-4FXではオーディオ機器風の、つまみが3つ並ぶ構成となっている。何かこの辺で企んでいるんだろうな、という匂いはしてくる。

 スペックを見てみると、まずUA-3FXに比べサンプリング周波数がアップし最高24bit/96kHzまで扱えるようになった。ただし、USB 1.1の制限により24bit/96kHz動作時には入力のみ、もしくは出力のみの一方通行になる。

 そして、前面に打ち出してきている新機能が真空管アンプ・シミュレーターというもの。フロント・パネルにも、真空管をイメージさせるLEDが搭載されている。確かにこれまでいろいろなエフェクトは搭載されていたが、真空管アンプ・シミュレーターというのはなかった。一方で、サイド・パネルを見ると、キャノン接続のマイク入力が搭載されていて、これがコンデンサー・マイクのファンタム電源にも対応しているという。これも新しい機能。さらにリア・パネルを見るとMIDIの入出力も搭載されており、UA-3FXにいろいろな機能を追加したモデルであることが、その外見からも見えてくる。

 
サイド・パネル
リア・パネル
 

 さて、その新機能である真空管アンプ・シミュレーターだが、これはRolandお得意のCOSMテクノロジーで実現した機能。まあ、真空管アンプ・シミュレーター自体は珍しいものではないし、ソフトで実現しているものなどもあるが、UA-4FXのそれは、従来の楽器レコーディング用のエフェクトとはちょっと違った使い方ができるのがウリともいえる。

 そう、実は筆者も、またギター用の新しいエフェクトとして真空管アンプ・シミュレーターが搭載されたんだろうと最初は思った。確かに、ギター用としても使えるし、マイク・プリアンプ用としても使えるのだが、もっと手軽で便利なのが、オーディオの再生用として使う方法だ。PCでCDやMP3を再生しているユーザーは多いと思うが、この際UA-4FXを使って再生させ、この真空管アンプ・シミュレーターをオンにすると、これまで聴いていた音とはちょっと違う、アナログ風で暖かなサウンドに変身してくれるのだ。そう、まさに、高級なオーディオ・アンプといった感じでUA-4FXが利用できるのである。具体的には音を太く暖かくするFAT&WARM、音に明るさを与えるBRIGHT、コンプレッサーとして機能するCOMP-THR(スレッショルド)、COMP-LEVELの4つのパラメーターがあり、これらをいじることで、いろいろな音を作ることができる。

 筆者の場合、デスクトップのモニター・スピーカーとしてEDIROLのMA-10Dを使っているが、UA-4FXのデジタル出力をMA-10Dに接続してMP3などを聴くと、非常に高音質で、まさに鑑賞できるサウンドになる。おそらく現在市販されているミニコンポなどの10万円以下のオーディオ機器でこれだけのサウンドを出せるものはないのではないだろうか。

 UA-4FXのツマミのデザインなどがオーディオ機器風になっていた理由はこの辺にあるようだ。

 

 ところで、最近はDTMや楽器のレコーディングを目的とする人以外でオーディオ・インターフェースがよく売れているという。もちろん、目的は人それぞれだろうが、よく聞くのはアナログ素材のPCへの取り込みだ。

 昔買ったLPレコードや、学生時代にエアチェックしたカセットテープをデジタル化して保存しておきたいというニーズだ。確かに、こうしたアナログ素材を一度デジタル化してしまえば、簡単にCDやMP3にすることができ、いつでもどこでも再生可能になる。やはり毎回レコード・プレイヤーを引っ張り出して再生するというのは非常に面倒だし、こうしたアナログ素材は腐食によって年々音が劣化していく可能性があるため、できる限り早くデジタル化しておくといい。その際に、いい音で取り込めるオーディオ・インターフェースが必須だが、UA-4FXはまさにそれにピッタリの機材なのだ。

 手軽な16bit/44.1kHzで録音することもできれば、できる限り音質にこだわった24bit/96kHzでの録音もできる。また、UA-4FXには後でも触れるマスタリング・モードというエフェクトを使うことで、アナログ素材特有のノイズを除去したり、音をシャープにしたり、高域や低域の音圧を持ち上げるといったこともできるのだ。

 一方、こうしたアナログ素材だけでなくMDなどのデジタル素材もうまく取り込める。アナログと同じ手法での録音も可能だが、デジタル出力を持ったMDデッキとであれば、デジタルのまま音質劣化なく取り込むことが可能なのだ。

 こんなところもUA-4FXの大きな魅力といえるだろう。

 

 さて、いま触れたマスタリング・モードは、アナログ素材をリマスタリングして録音するのに最適なエフェクト群となっている。具体的にはノイズリダクションのためのNOISE SUP、音をシャープにするENHANCER、2バンドのコンプレッサーであるMASTER-Lo、MASTER-Hiの4つの組み合わせで、そのパラメーターは自由に設定できる。もちろん、録音時だけでなく、再生時にも利用可能だ。

 またそのほかにもリスニング・モード、パフォーマンス・モードというものもある。リスニング・モードにはセンターの音を消してしまうCENTER CANCEL、2バンドEQであるLOW BOOSTとHIGH BOOST、さらに反響音を加えるREVERBの4つがある。まさにリスニング時に利用できるのだが、面白いのがCENTER CANCEL。これを使うことで、CDやMP3などを再生する際、普通のボーカル入りの曲がカラオケに変わってしまうのだ。もちろん、PC側は何もいじる必要はなく、単にUA-4FXをリスニング・モードにして、CENTER CANCELのパラメーターを少し上げるだけでOK。曲によっては完全に消えるわけではないが、カラオケ好きな人にはまさに画期的な機能といってもいいだろう。

 そしてもうひとつのパフォーマンス・モードは、ギターやボーカルなどを録音するのに使えるエフェクト群。FXボイスは声をいじってロボットボイスにしたり、女性の声を男性に変えたりといったことができるもの、AMP/DRIVEはギター・アンプのモデリングとギター・サウンドを歪ませるエフェクト、そしてCHORUSとDELAYで音に広がりや余韻をつけることができるようになっている。

 いずれのエフェクトも、録音用、再生用それぞれで利用できるので、用途に応じていろいろな使い方ができそうだ。

 

 以上、UA-4FXを簡単にレポートしてみたが、いかがだっただろうか。とにかく機能てんこ盛りで、かなり遊べる機材だ。真空管アンプ・シミュレーターや3つのモードを持つエフェクト群など、いろいろな使い方ができる。

 そして、その使い方の幅を広げるもうひとつのよさが、さまざまな入出力端子を装備していることだろう。ここまでも、紹介はしてきたが、改めて入出力を整理すると、まずフロントには標準ジャックでのヘッドフォン出力とプラグインパワーに対応したミニ・ジャックのマイク入力、そして標準ジャックでの入力がある。この標準ジャックの入力は隣にあるスイッチでマイクとギターが切り替えられるようになっており、ギターにすれば、ハイ・インピーダンス対応となるため、直接ギターと接続できるのはうれしいところだ。また、前述したとおり、サイドには+48Vのファンタム電源に対応したマイク入力があり、リアにはRCAピンでのステレオ入出力、そしてS/PDIFの光デジタル入出力とMIDI入出力が搭載されている。まあ、たいていのものなら何でも接続できるといっても過言ではないだろう。

 低価格ながら、まさにオールマイティーなオーディオ・インターフェースといっていいだろう。

フロント・パネル
左からGUITAR/MIC切り替えスイッチ、GUITAR/MIC、MIC、ヘッドホン
 
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